「iPhone SE 4」は2025年に登場する特に重要なアップル製品になるかもしれない
うわさや報道を信じるなら、2025年は「iPhone」に関して重要な年となりそうだ。まったく新しいモデルとして「iPhone 17 Slim」が登場するほか、標準モデルのディスプレイや前面カメラも大幅にアップグレードされるとみられている。 しかし特に注目すべきは、MacRumorsやアナリストのMing-Chi Kuo氏、Bloombergが2025年に登場すると予測している「iPhone SE」の新作だ。手頃な価格が売りのiPhone SEシリーズは、iPhoneの標準モデルが対応していないニーズ、つまり一部の機能を犠牲にしてでも価格は低い方がいいというニーズに応えている。 歴代のiPhone SEは例外なく、このニーズを満たしてきた。報道が正しければ、次のiPhone SE 4は特に大きなインパクトを持つ可能性が高い。なぜならAI機能群「Apple Intelligence」の普及に一役買う可能性があるからだ。もしうわさが事実なら、新型iPhone SEはGoogleの「Pixel 8a」などにも対抗できるスペックを備えた手頃なスマートフォンとなる可能性が高い。 iPhone SE 4がApple Intelligenceの普及を後押し 現在のところ、iPhoneでApple Intelligenceを使うためには最新の「iPhone 16」シリーズか、2023年発売の「iPhone 15 Pro/Pro Max」を手に入れる必要がある。しかし報道が事実なら、状況は近いうちに変わるだろう。Bloombergによると、2025年の3~4月に登場予定のiPhone SE 4ではApple Intelligenceが利用できるようになる。iPhone SEには通常、最新のiPhoneと同じプロセッサーが搭載されることを考えると、十分にあり得る話だ。 一般に、iPhone SEの価格は標準的なiPhoneよりも顕著に安いため、iPhone SE 4が登場すれば、Apple Intelligenceのユーザーが大幅に増える可能性がある。ちなみにiPhone 16は799ドル(日本では12万4800円)、iPhone SEは429ドル(日本では6万2800円)だ。Apple Intelligence自体は無料だが、最新のiPhoneでなければ使えないため、実質的にはプレミアム機能と言うべきかもしれない。この機能がiPhone SEのような低価格モデルでも使えるようになれば、iPhoneファンの間でApple Intelligenceの存在感はぐっと増すだろう。 Appleにとって、これは大きな意味がある。生成AIは今後、インターネットを大きく変えると予想されており、その兆候はすでに現れているからだ。McKinseyの調査では、調査に参加した組織の65%が生成AIをすでに定期的に使用していると回答した。また市場調査会社International Data Corporation(IDC)は、生成AIソフトウェアの市場規模は2023年の28億ドル(約4300億円)から2028年には396億ドル(約6兆円)に拡大すると予測している。この2年間で、生成AIはノートPCやスマートフォンを支えるソフトウェアから検索エンジンまで、あらゆるものに組み込まれるようになった。 言い換えれば、生成AIに対するAppleのアプローチ(つまり、Apple Intelligence)はiPhoneの未来を左右する可能性があるということだ。Apple Intelligenceを利用できる人をいま増やすことは、膨大な数のiPhoneユーザーにAppleの新しいAIツールに親しんでもらう(そしておそらくはワクワクしてもらう)ための重要なステップとなる。 Android端末に対抗できる手頃なiPhoneがついに登場か たとえiPhone SE 4が出たとしても、上位モデルほど人気は出ないだろうから、Apple Intelligenceの普及に大きな影響はないと考える人もいるだろう。AppleはiPhoneのモデル別販売台数を発表していないが、市場調査会社Counterpoint Researchの調査では、2022年のスマートフォン販売台数ランキングにおいて、iPhone SEは9位にとどまった。1位は2021年発売の「iPhone 13」だ。2020年発売の「iPhone 12」でさえ、iPhone SEを上回る6位に入っている。 iPhoneの新機能は使いたいが、費用は抑えたいという人々が、iPhone SEではなく旧モデルを選ぶ気持ちは分かる。2022年に発売された現行世代のiPhone SEは、主流のiPhoneと大きく違う。例えば、ディスプレイのサイズは標準モデルが6.1インチなのに対して、iPhone SEは4.7インチしかない。顔認証にも対応しておらず、画面の端まで広がる大画面もない。ディスプレイはOLEDではなくLCDパネルだ。バッテリー駆動時間は、同じく2022年発売の「iPhone 14」より数時間短く、「MagSafe」にも対応していない。 iPhone SEにも良い点はたくさんあるが、フラッグシップモデルと比べれば(たとえiPhone 13のような古いモデルであっても)、体験に大きな差があることは否めない。しかしiPhone SE 4の登場によって、この状況は変わる可能性が高い。 MacRumors によると、次世代のiPhone SEはApple Intelligenceに対応するだけでなく、iPhone 14風のデザイン、「Face ID」、OLEDディスプレイ、USB-C、「アクションボタン」を採用し、新たに4800万画素の背面カメラを搭載する可能性があるという。こうした変化は、iPhone SEが最新のiPhoneに大きく近づいたというイメージを生み、以前なら旧モデルや整備済iPhoneを買っていた層にアピールする可能性がある。 iPhone SE 4は、広々としたディスプレイや複数のカメラといったプレミアムな機能を搭載した競合機種、例えばGoogleのPixel aシリーズやサムスンの「Galaxy A」シリーズと互角に戦える初の格安iPhoneとなるだろう。 2025年は「iPhone 17」シリーズと新しいSlimモデルに人々の関心が集中し、iPhone SE 4がスポットライトを浴びる機会は少ないかもしれない。しかし期待通りのスペックになるなら、iPhone SEは現代風にアップデートされた格安iPhoneとして、AppleのAI機能の普及に大きな役割を果たすはずだ。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。