長引く痛みが「五十肩」ではなく「腱板断裂」の可能性 2つの違いなども専門医が解説
腱板断裂の治療法
編集部: 腱板断裂はどのようにして診断するのですか? 白澤先生: 診察では、肩を挙げることができるか、肩関節の拘縮があるか、普段気づかないような動作で筋力低下が生じていないか、などを調べます。 また腱板断裂を起こすと肩を挙げたとき、肩の頂点のあたりから軋轢音(きしむ音)が聞こえることがあるので、そうした音がないか調べます。それからX線検査や超音波検査を行ったり、確定診断のためにMRI検査を行ったりすることもあります。 編集部: 腱板断裂と診断されたらどのような治療を行うのですか? 白澤先生: 基本は運動療法などの保存療法になります。痛みが強い場合には消炎鎮痛剤を用いて症状の軽減を図ります。特に痛みが強いときには注射が有効で、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤を肩峰下滑液包内に注射します。 これは断裂部位の炎症を抑えるのに効果的ですが、ステロイドは副作用が心配なこともあるので、複数回注射が必要な場合はヒアルロン酸の注射に変更することもあります。 編集部: それでも良くならない場合には? 白澤先生: 改善がない場合や肩が挙がりにくくなってしまった場合などは、手術を検討します。しかし、いずれの治療においても、重要なのはリハビリです。 肩周りの筋肉をストレッチしたり、肩甲骨の可動域や体幹の動きを改善する訓練を行ったりしますが、重要なのは患者さんの痛みの程度や残存している肩関節機能の程度によって、運動の種類や強度を決定することです。 必ず医師や理学療法士の指示に従って行うようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージがあれば。 白澤先生: 腱板断裂は、五十肩との鑑別が難しい疾患。特に初期では見極めるのが難しく、自分で「五十肩だろう」と自己診断してしまう人が少なくありません。 しかし腱板断裂は放置するとだんだん断裂が大きくなり、治療が難しくなることもあります。早めに受診し、適切な治療を開始するようにしましょう。