司法書士が教える「定款認証」の流れ 予約から交付までの手続き
「定款認証」は会社設立に欠かせない重要なステップです。認証プロセスでのミスや準備不足は、設立手続き全体を遅らせる原因になりかねません。定款認証がスムーズに進むよう、事前準備や手順、注意事項などを押さえておきましょう。加陽麻里布氏(司法書士法人永田町事務所 代表)が解説します。
定款認証を受ける手順
定款作成は、会社設立における第一歩であり、会社運営のルールを明文化する重要な作業です。しかし、定款は作成するだけでは足りず、株式会社の場合には公証役場で認証を受ける必要があります。認証プロセスでのミスや準備不足は、設立手続き全体を遅らせる原因になりかねません。ここでは、定款認証の予約から交付までの手続きについて、詳しく解説します。スムーズに進めるためのポイントや注意事項も併せてお伝えします。 〈定款認証の全体的な流れ〉 (1)公証役場への予約 (2)必要書類の準備 (3)定款認証当日の流れ (4)認証済み定款の交付とその後の対応 これらのステップを順に見ていきましょう。
(1)公証役場への予約
定款認証は、事前に公証役場へ予約をする必要があります。これは、公証役場の担当公証人が個別に内容を確認し、認証を行うためです。 【予約の手順】 1.公証役場の選定 ・会社の本店所在地を管轄する都道府県の公証役場を選びます。 ・管轄外の公証役場では対応できないため、事前に確認しておきましょう。 2.電話またはメールで予約 公証役場に連絡し、定款認証の予約を取ります。次の情報を伝えるとスムーズです。 ・会社名(予定) ・発起人の氏名 ・資本金の額 ・認証希望日と時間 3.注意点 ・予約時に必要書類の詳細を確認しておくと、不備を防ぐことができます。 ・予約は余裕を持って行いましょう。希望日の直前では予約が埋まっている場合があります。
(2)必要書類の準備
定款認証当日に提出する書類を事前に準備します。不備があると手続きが進まないため、次の必要書類リストを確認しましょう。 【必要書類一覧】 1.定款(紙または電子データ) ・電子定款の場合、PDF形式で作成し電子署名を行います。 ・紙定款の場合、収入印紙(4万円)を貼付しましょう。 2.発起人全員の印鑑証明書 ・発行日から3ヵ月以内のものを用意します。 3.発起人の実印 ・定款(代理人に依頼する場合は委任状)に実印の押印が必要です。 4.認証手数料(現金またはクレジットカード) ・一般的に1万5,000円~5万円前後です。資本金の額に基づいて変動します。 5.代理人が手続きする場合 ・定款認証委任状が必要になります。