バリエーションに富んだ西丹沢の主峰・檜洞丸は新緑とシロヤシオのハートフルコーデに癒やされる
先だって開山祭が開催されたばかりの西丹沢といえば、檜洞丸と畦ヶ丸の“丸”コンビ。とりわけ檜洞丸は主尾根登山道をツツジ新道と呼ばれるほどツツジの群生で知られ、春のシロヤシオの開花には多くの登山者が訪れます。開山祭開催日にスタッフがシロヤシオを求めて山行してきました。 【写真】低山ながら登り応えのある檜洞丸登山のルートを見る(全14枚)
渡渉、急登、鎖場、木道とバリエーション豊富な登山道
西丹沢の魅力は緑深き静かな山間と透明度の高い沢の涼やかな川音ではないでしょうか。代表的な檜洞丸と畦ヶ丸の2座に限れば、いずれも沢の渡渉にはじまり、急登を乗り越え丹沢特有の木の階段に足腰をいじめられて山頂に立つことになります。 檜洞丸の代表的な登山ルートがゴーラ沢出合からツツジ新道を伝ってのルートです。5月中旬からはシロヤシオの可憐で優しい花々が登山道を挟んで咲くことで人気のルートとなっています。往復でコースタイム約6時間少々の日帰りコースです。 標高540mの西丹沢ビジターセンターを出て左手に中川川を見ながら北に10分も歩けば右手にツツジ新道入口が出てきます。いきなりの露岩の沢はゴルジュというには大げさですが、気分はプチ峡谷。緩やかに高度を引き上げながら新緑まぶしいトレイルは約1時間ほどで標高740mにある広々としたゴーラ沢出合に到達。沢の合流地点を出合と言いますが、沢を石伝いに渡ります。大雨の翌日等だと、増水で渡ることができない場合もあります。 ゴーラ沢出合を渡渉して取りつきに。ツツジ新道はいきなりの急登が始まります。鎖もあれば木の根っこにつかまりながらよじ登ります。多くの登山者が掴むであろう根っこは、人力で表面がツルツルの黒光りなお肌になっています。約1時間で展望園地(現地のプレートでは展望台)。好天の日なら富士山を木の合間から望むことができます。
愛子内親王の御印指定のシロヤシオが背中を押す
丹沢といえば木の階段と木道。檜洞丸への登頂ルートにもがっつり用意されています。息を整えながらの登りは顎が出るではなく、うつむきがちになりますが、5月中旬から6月初旬のこのルートは顔がしっかり前を向いて登る理由がありました。シロヤシオです。 シロヤシオはツツジ科の低木。別名ゴヨウツツジ(五葉躑躅)とも呼ばれるそうで、枝先に5枚の葉が広がり、大柄な花は白。山の新緑と目に優しいコーディネートを披露してくれます。近づいてみると葉の縁が紅く色づく照れ屋さんです。シロヤシオの花は愛子内親王の御印に指定されています。
シロヤシオ+ミツバツツジやヤマツツジで色変も楽しい
前年の大満開の影響もあってか、2024年の春は少し寂しいという声も多く耳にしますが、キツい登りに疲れ、歩を休めた合間に出会えることで完登へのパワーをもらえたような気もします。またシロヤシオだけでなくミツバツツジやヤマツツジの紫とオレンジサーモンカラーが時折混じり、色変も楽しめます。 檜洞丸ならではの2車線木道を伝ってラスト追い込みをかけて山頂です。標高1601mの山頂は広く、テーブルやベンチも置かれていますので山ランチ時間も楽しめます。檜洞丸は秋の色づきも魅力ですし、キンと冷えた冬枯れや春先の残雪期の雪踏みも楽しいものがあります。1年を通じて山行を楽しめる魅力の山と言えます。
ソトラバ編集部