極度の疲労で動かなかった足…なぜ日本はメキシコに1-3で完敗しメダルに手が届かなかったのか…城氏の東京五輪総括
スタメンの11人のうち、浦和に復帰した酒井も海外組としてカウントすれば、8人が海外でプレーしている。だが、欧州の中でもレベルの高いリーグ、クラブと契約し、そこでレギュラーを張っている選手は何人いるのか。チームの大半が海外でプレーできるようになったが、このベスト4から先に進むには、同じ海外でも、さらにもう一段階上のレベルでプレーすることを求めなければならない。欧州の中でも、プレミア、リーガ・エスパニョーラ、セリエA、ブンデスといったリーグのビッグクラブで真のレギュラーとなる状況を作らねば、この壁は崩せないのかもしれない。 延長戦で一発で沈められたスペイン戦も、決めたアセンシオはレアル・マドリードでプレーしている選手。決めるべきところで決めるチームと、決めるべきところで決められないチームの差が、如実に出たが、それはイコール、ハイプレッシャーの中でもボールをコントロールできる個の能力の差でもある。 特にストライカーの決定力不足が顕著に出た。林は前には行くが決めきることができず、上田は、この日の試合でもフリーになってシュートを外している。林、上田、前田の3人は、海外ではなくJリーグでプレーしている選手。パリ五輪までの3年間で、順を追って評価を高めなければならないだろうが、それがパリ五輪で、この壁を突き崩すための課題だと思う。幸いにしてエースの久保は、3年後も、23歳以下で五輪代表メンバーに残るのだ。 また同時に今回のメンバーがフル代表に入っていかねば、日本のサッカーの底上げにはつながらない。明確な世代交代を彼らが示すべきだ。久保は絶対に必要な戦力で、堂安、冨安は、すでにフル代表の常連だが、今大会で貴重な経験を積んだGKの谷を筆頭に田中、相馬、中山、旗手、板倉あたりがフル代表に食い込んでいかねばならないだろう。 東京五輪で日本サッカー界が与えられた宿題である。 (文責・城彰二/元日本代表FW)