生物5800種が生息、ホンダ所有“広大な森”が提供する価値
“多様性”研究データ提供
データ収集も重視する。08年から、日本自然保護協会による里山調査に協力して生物のデータを提供している。継続することで長期的な変化をつかめ、全国のデータとの比較で自分たちの森を客観的に評価できるという。 森はさまざまな活用もされている。日本体育大学の野井真吾教授と連携し、キャンプに参加した子どもの心身の健康を調べ、自然体験がもたらす効果を評価している。また、地元の宇都宮大学とも連携してイノシシの行動を追跡する調査もした。日本各地のイノシシ被害の対策になるデータを得られると期待する。 環境省からは、生物多様性が守られている緑地を認定する「自然共生サイト」に選ばれた。崎野氏は「これまで以上に注目されるようになった」と胸を張る。 自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」が潮流となり、コストをかけて森を守ってきた企業と担当者の努力が評価される時代となった。それでも満足せず「25年後を見すえた森づくりの計画を立てている」(崎野氏)と、次の四半世紀に目を向けている。