大幅利下げ選択のFRB、パウエル議長は確実な軟着陸達成を目指す
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は18日、0.5ポイントの大幅利下げに踏み切った。労働市場悪化のリスクが高まる状況にあって、経済の力強さを維持するのが狙いで、インフレ抑制だけに専念してきた政策運営姿勢の終わりを意味する。
連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に記者会見したパウエル議長は、経済が引き続き堅調な局面において、歴史的な引き締めキャンペーンの解除を大幅利下げでスタートさせることにより、景気下降の可能性を抑えることになると語った。
ただ、将来の動きは今後数カ月の経済動向に基づくと述べ、金融当局として先行き同様のペースで緩和を進めることにコミットするわけではないと、くぎを刺すことにも手抜かりはなかった。
多くの予想よりも大きめな利下げは、パウエル議長が以前から思い描いていたソフトランディング(軟着陸)を確実に達成するための取り組みだ。
「労働市場は底堅く、その状態を保つのが今日の政策措置の趣旨だ」と述べるとともに、「経済的観点とリスク管理の観点の両方から、私にとってこのロジックは明白だ」と話した。
パウエル議長が大幅利下げ決定を前向きなトーンで説明したことで、緩和開始の遅れを埋め合わせるための取り組みではないかとの見方をはね返すことにもなった。
議長は「われわれが後手に回っているとは思わない。後手に回らないことへのコミットメントのサインと受け止めてもらうことができる」と発言した。
FOMC、0.5ポイントの利下げ-積極緩和で経済守る決意表明
0.5ポイントの利下げ決定に異論がなかったわけではない。0.25ポイントの小幅な利下げを支持したボウマンFRB理事はFOMCの決定に対し、理事としては2005年以来となる反対票を投じた。
会合後に公表された金融当局者による最新の金利予測分布図(ドット・プロット)中央値では、11月と12月の年内残り2回のFOMC会合で計0.5ポイントの利下げ見通しが示された。だが、インフレ率は2%の当局目標に完全には回帰しておらず、当局者19人中7人は年内の利下げ幅見通しをわずか0.25ポイントとし、2人は年内の追加利下げは不要とみるなど意見の相違が浮き彫りとなった。