大幅利下げ選択のFRB、パウエル議長は確実な軟着陸達成を目指す
現時点で投資家が11月と12月の会合について織り込む利下げ幅は計0.7ポイントと、当局者見通し中央値よりも積極的なスタンスを反映している。
パウエル議長は「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」とし、景気動向は緩和ペースを速める方向と、ペースを落とす方向のいずれにも展開する可能性があると説明した。
強力な措置
しかし、緩和サイクルの開始に当たり、大幅利下げを選択したことは、労働市場がさらに悪化した場合、金融当局として再び強力な措置を講じる用意があることを示すものだと、元FRBエコノミストでマクロポリシー・パースペクティブズ創業者のジュリア・コロナド氏は指摘した。
コロナド氏は当局者について、「今や彼らは信認を得た。このため、労働市場が一段と冷え込めば、当局の対応があると確信することができる」と解説した。
7月31日のFOMC会合後に発表された雇用統計は、労働市場が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に見られたタイトな状況から下方にシフトしたことを裏付けた。
このうち8月2日に発表された7月の雇用統計は、予想を大幅に下回る内容だったため、仮に7月会合の前に発表されていれば、同月に利下げを開始していた「かもしれない」ともパウエル議長は話した。また、8月の失業率は4.2%と、昨年記録した3.4%の低水準から悪化している。
米雇用者数の伸び、市場予想に届かず-利下げ幅巡る議論活発化へ
一方で、インフレ率は当局者が期待する方向に沿って鈍化傾向にあり、当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、7月の総合価格指数が前年同月比2.5%上昇と、目標に近づいている。
それでも、他の経済統計は引き続き米経済の力強さを反映している。新規失業保険申請件数はレイオフが少ないままであることを示し、17日に発表された8月の米小売売上高は個人消費の底堅さを証明した。