元防衛省職員が過疎地にUターン、1人きりで地域情報誌を創刊した結果。50人以上の仲間が集い地域が熱を帯びていく ドット道東・北海道
道東への関わり方は人によってさまざま
今年5月には昨年に続き2度目となる札幌での道東インターンシップイベントを開催。筆者が取材に行くと学生を中心に50人が集まっていました。 参加していた北海道大学3年生の女性に話を聞くと、昨年実際に釧路市内の企業でインターンシップに行ったとのこと。女性は静岡県出身で大学は札幌市内にあり、札幌から300km離れた釧路市とは縁があったわけではありません。女性はインターンシップに参加した理由を教えてくれました。 「もともと出身が田舎だったので、卒業後はローカルエリアで働きたいという気持ちがあります。今は大学があるので札幌に住んでいますが、自分にとってはちょっと都会すぎて。昨年道東イベントに参加して心地よかったので、今年も参加しました。今年もご縁があったら道東の企業にインターンに行きたいと思っています」 ほかのインターンシップイベントとは違い、ぐいぐいと就職活動の話にならず気軽に話せる、と女性は語ります。
地域に関わるといっても、人によって志向はさまざまです。移住や拠点を構えるまで検討している人、仕事や地域活動で関わる人、観光・レジャーに来る人など関心のグラデーションはさまざまですが、関係性が変化し濃い関わりになる可能性も秘めている、と中西さんは語ります。 移住や人材採用などの自治体や企業の目線だけでなく、道東エリアにさまざまなグラデーションで関わる個人に対して取り組みたいと考えているからこそ、緩やかなつながりをつくる企画を生み出すことが可能なのかもしれません。
地方では自分の介在価値をバシバシ感じる
道東に「帰りたい」を叶えた釧路市出身の工藤安理沙さん(26歳)に話を聞きました。東京の大学卒業後にそのまま都内で働いていましたが、現在は道東エリアの浦幌町で宿泊事業などを行う株式会社リペリエンスに転職。ドット道東の広報も担当し、パラレルキャリアで活動しています。
もともと大学時代の就職活動中に、地元に戻りたい気持ちがあったという工藤さん。ですが地元企業の採用情報を確認できても、実際に働いている人の声などUターンして働くイメージが持てる情報が得ることができず地元での就職活動にためらいを持ってしまったそう。戻りたくてもそのきっかけに出合えなかったといいます。 東京で暮らしていた工藤さんはドット道東の活動をSNSで見つけました。20、30代メンバーが故郷で挑戦する姿は、「地元にとって絶対にやったほうがいいことをやっている」と感じたといいます。 ある時、ドット道東の発信情報を見ていると、自分がやりたいと思うポジションの募集をみつけました。同じチャンスは2度とめぐってこないかもしれない、と思い、応募を決意。工藤さんは道東に帰る決断をします。