元防衛省職員が過疎地にUターン、1人きりで地域情報誌を創刊した結果。50人以上の仲間が集い地域が熱を帯びていく ドット道東・北海道
イベント資金は当時まだ事例が少なかったクラウドファンディングで調達し、目標金額を大きく上回り達成。多くの人が関わり、実際に道東への誘致に成功したイベントとなりました。 このイベントが「ただの個人の集まり」を一緒に進めていくチームにする契機になり、翌年には道東エリアの釧路市や帯広市、大樹町など散らばった場所を拠点としていた仲間が集まり、一般社団法人ドット道東を設立します。
「地元の情報を届ける」目標、8年がかりで実を結ぶ
中西さんらは「団体の名刺代わりになるものを」と考え、法人設立の翌年2020年には、アンオフィシャルガイドブック『.doto』を刊行。クラウドファンディングでの支援金は約400名から目標100万円の300%を超える335万円を得て支持されました。 地域に根ざし活動し、地域に精通している人が本当にオススメしたい道東暮らしを伝える1冊は、自社流通で5000部が1カ月で完売し、増刷。全国の書店でも販売され、「日本地域コンテンツ大賞」にて「地方創生部門最優秀賞(内閣府地方創生推進事務局長賞)」を受賞しました。 このガイドブックにより、25歳の時に地元にUターンした中西さんの願いであった「地元を離れた人に情報を届ける」ことを8年越しで実現することになります。 「この1冊をきっかけに、道東に帰りたい、住みたい、という人がたくさん現れたんです。SNSや対面でもガイドブックの反響を数多くいただきました。自分1人で月刊誌をつくった時には全く届けられなかったのに、行動し続けるうちに仲間ができ、ようやく道東の面白さを1冊にして届けることができました」
その後、2022年には道東にある阿寒摩周国立公園の近くに住む人の声を丁寧に伝える冊子「自然の郷ものがたり 阿寒摩周国立公園の暮らし」を制作。住民が誇りを持つ土壌づくりにつながるブックレットとして評価され、2022グッドデザイン賞を受賞します。 また、道東に「帰りたい」「住みたい」人たちに仕事情報を伝えるため、求人メディア「道東ではたらく」もスタート。さらに道東エリアの企業への学生を対象としたインターンシップイベントやコミュニティづくりなど、事業領域は多岐にわたっています。 ドット道東は現在9人のボードメンバーのほか、パートナーは50人以上。道東の企業や自治体と協業し、地域の課題解決に取り組んでいます。