【解説】利上げは来年早々? トランプ大統領就任で日銀は?
■過去の金融政策レビューの結果は…
――今回の会合では、過去25年の金融政策について振り返るレビューの結果も発表されましたね? 宮島:はい、これはちょっと難しいんですけれども、これまで25年間やってきた金融政策がどうだったのかという分析の成果が示されました。ポイントはこちらです。 非伝統的な金融政策、ゼロ金利政策、量的緩和、イールドカーブコントロール、金融政策が次々と出てきましたけれども、これがどうだったのかということです。 現時点では全体として見ればプラスの影響と、レビューはしています。ただ副作用は遅れて出ることもあるので今の段階で言い切れないと。マイナスの影響が大きくなる可能性があるとしています。 それで、非伝統的な金融政策の手段は、昔からやっていて今もやっている短期金利を動かす伝統的な金融政策に比べますと、効果は不確実だということです。
さらに、黒田総裁時代などの大規模金融は、やってみたけれども、当初想定した程度の効果を発揮しなかったとしています。 結果として、やはり、「可能な限りゼロ金利政策に直面しないような政策運営が望ましい」というのが今回のレビューの結果です。 つまり、トータルとしてゼロ金利政策になってしまったら、そこからいろんなことをやっても本当に難しいということです。 だから、金融政策をする日銀としては、やはり金利を上げたり下げたりして物価を調整する、そういうカードを持っておくことが大事です。日銀としてはその金利ののりしろを作っておきたいと示すことになったと思います。
宮島:こちらは来年の日程です。 今回利上げはなかったけれども、きょうのお話ですと1月もどうかな、と思います。20日にトランプ氏が大統領に就任して、今よりは不確実性はなくなるかもしれないですが、次々にどんな政策が出てくるからわからないということはあると思います。 3月には来年度予算が成立するはずです。今の政治の状況で、どうなるのかという心配もあります。成立したらここで、少数与党では厳しいということで、政権がもしかして衆院選に打って出るのではないかという話もあります。 選挙が近い時期は金利をあげにくくなるかもしれませんし、来年は参議院議員選挙があります。もちろん選挙があったら利上げができないわけではないんですけれども、政治の状況・景気・経済の状況を注意して見なければいけません。 野党は、金利を上げると中小企業が非常に厳しくなると言っています。また、金利を上げると、住宅ローンの金利は少しあとから上がってきます。そういったことがどのくらい影響するのか。来年はどんな年になるのか、経済はどうなるか、来年も注目したいと思います。