【たった30分運動するだけで翌日まで脳の働きが向上!】研究からわかった運動と認知能力の関係とは?
活発なウォーキング、自転車通勤、ダンスなど、1日30分程度の短時間の運動を定期的に行うことで、中高年者の認知機能が翌日まで向上することが、新たな研究で明らかになった。 <写真>【たった30分運動するだけで翌日まで脳の働きが向上!】研究からわかった運動と認知能力の関係とは? これまでの研究では、運動後数時間にわたって認知能力が向上することが示されていたが、その効果がどのくらい持続するのかは明らかでなかった。今回の新しい研究では、50歳から83歳までの人々が、通常よりも多く中強度から高強度の運動を行った日の翌日の記憶テストの成績が平均して向上した。また、座っている時間が短く、睡眠時間が6時間以上の被験者も、翌日の記憶テストの成績が向上していた。 ■運動と翌日の認知能力 この研究では、活動量計を8日間装着し、毎日認知テストを受けた76人の男女のデータを科学者たちが分析した。 結果、平均的な活動量と比較して、中強度または高強度の身体活動をより多く行った場合、翌日のワーキングメモリー(情報を一時期的に記憶し処理する能力)とエピソード記憶(出来事の記憶)の能力が向上することを発見した。また、睡眠時間が増えると、ワーキングメモリーとエピソード記憶、および精神運動速度(環境を素早く察知し、反応する能力)の向上につながることがわかった。そして逆に、いつもより座っている時間が長かった場合、翌日のワーキングメモリーの低下につながることが分かった。 「私たちの研究結果は、身体活動による短期記憶の向上効果が、運動後数時間ではなく翌日まで続く可能性があることを示唆しています。より多くの睡眠、特に深い睡眠をとることで、記憶力の向上がさらに促進されるようです。」と、筆頭著者、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・ヘルスケア研究所ミカエラ・ブルームバーグ博士は話す。 また、この研究は小規模で行われたものであり、より大規模なサンプルで再現する必要があること、そして参加者が認知的に健康なグループであったため、神経認知障害を持つ人々には結果が当てはまらない可能性があると述べている。 ■運動が脳への血流を増加させる 運動による脳への効果は、運動後の脳への血流増加によるもので、これによって認知機能にざまざまな影響を与えるドーパミンなどのホルモンの放出を促す可能性があると研究者らは述べている。これらの化学的変化は、運動後数時間持続すると考えられている。しかし、運動にともなうそのほかの脳の変化はより長続きすると研究者らは言う。例えば、運動により気分が向上する効果は最大24時間持続するという研究結果が報告されている。 ■中強度または高強度の運動とは? 「中強度または高強度の運動とは、心拍数を上げるあらゆる活動を指します。早歩きやダンス、数階分の階段の上り下りなどでも行うことができます。必ずしもプログラム化された運動である必要はありません。」とブルームバーグ博士は言う。 「この研究は、運動による即時の認知機能向上効果が、私たちが考えていたよりも長期間持続する可能性を示しています。また、質の高い睡眠が認知機能に貢献することも示唆しています。高齢者にとって、認知機能を維持することは、生活の質、ウェルビーイング、自立性の向上において重要なことです。そのため、日々の認知機能に影響を与える要因を明らかにすることは有益なことです。」と、この研究の共著者、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・ヘルスケア研究所アンドリュー・ステプトー教授は述べた。 出典: Short-term cognitive boost from exercise may last for 24 hours|UCL Just 30 minutes of exercise can boost brain throughout day, study finds|INDEPENDET 文/HIDEMI
HIDEMI