夫婦、友達、親子…年齢とともに関係性が変わってくる「家族との距離感」を整理するための“3つの心得”
その経験から人は、「こういうときはこうしたほうがいい」「こんな場合はこうしないほうがいい」という、その人なりの正攻法(少なくとも間違いのない対処法)を身に付けます。 そして困ったことに、自分の正攻法がある人は、違ったやり方をする人がいると、「いや、そのやり方ではなくて」と、つい自分の正攻法を“転ばぬ先の杖”として伝えたくなってしまいます。子離れができない親には、こうした傾向が強いようです。 しかし、自分の方法だけが正しいわけではありません。他に成功する道はいくらでもありますし、子どもは自分でそれを見つけたいのです。
結果的に同じやり方にたどり着いたとしても、親が自分の正攻法を自らの経験でつかんだように、子どもにも、自らの経験を通してたどり着くその過程を尊重してあげましょう。 親を頼りにして自立できない子どもは、順当に親が亡くなったとき、途方にくれてしまいます。いつでも親が助けてくれたことが仇となり、悲しみからなかなか立ち直れず、自立するのを妨げることが少なくありません。 頼りにしてくれる子どもがいる、そして、頼りにできる親がいるのは、とてもすてきなことです。問題なのは、親離れができない、子離れができないという共依存、あるいは“強依存”です。互いが自立し、自由になれるように、強依存のつながりを徐々にほぐしていきたいものです。
名取 芳彦 :元結不動 密蔵院住職、作家