夫婦、友達、親子…年齢とともに関係性が変わってくる「家族との距離感」を整理するための“3つの心得”
しかし、広く垣根をはるような広範囲な人間的つながりは、ときに負担になることもあります。人脈を仕事などで活かせる現役世代ならいざ知らず、仕事も引退して人生後半に入ったら、心の垣根別に、一度友達をふるいにかけてみてもいいでしょう。 垣根のもっとも内側に残すのは、一緒にいると落ちつけたり、楽しい気持ちになれたりする人です。人生も折り返し地点を過ぎると、垣根のより内側にいる人の存在が、中身の濃い人生を送るために欠かせなくなってくるからです。
ただし、相手にも相手の「心の垣根」があることはお忘れなく。ふるいにかけて残った人に対して、友情の押し売りになっていないかどうかだけは、注意を払ったほうがよさそうです。 ■いくつになっても心配が尽きないすべての親へ 親離れ、子離れは、いつの時代でも言われる大切なことです。これができないと、親子という粘着性の高い依存関係が続き、ともに自立できないからです。 生まれたばかりの子どもは、親の庇護がないと生きていけません。そのために、親は我が身を顧みずに子どもを守り、養います。
父母への恩徳を説いたお経『父母恩重経(ぶもおんじゅうきょう)』には、「親は自分が飢えているときでさえ、自分はまずいものを食べ、うまいものは子に与える。乾いた快適な場所に子を寝かせ、自分は湿った不快なところにいる。誠実な心を持っていなければ親ではないし、親でなければ子を養育しない」と、身につまされるような描写があります(一部、母を親に変えてご紹介しています)。 これだけ愛情を注いだ我が子がかわいいのは当たり前です。そのため、いつまでも守ってあげたいと思い、間違った方向に行かないように導いてあげたくなります。
しかし、これが子育てじまいできない理由ですし、世に言う“いちいちうるさい親”が誕生する原因でもあります。 ■子の自立を妨げてしまう「転ばぬ先の杖」 親子の年齢差はいつまでたっても変わりません。子どもはいつでも、親が生きた年齢を数十年後に生きていくことになります。親はそれまでの人生経験から、多くの成功例を体験し、数々の失敗から学んでいます。それをふまえて、人生後半の年齢まで生きてくることができたのです。