「我々に価値があるってことがわかったでしょう」トランプ氏“領有発言”とグリーンランド人の“本音” アメリカと中国、そしてデンマークの駆け引きの狭間に置かれる住民の声を聞いた
アメリカのドナルド・トランプ次期大統領はデンマークの自治領グリーンランドについて、アメリカが領有すべきだと(再び)発言しました。デンマークの首相は今回も「グリーンランドは売り物ではない」「グリーンランドはグリーンランド人のものだ」と反発。ではその「グリーンランド人」はどう考えているのでしょうか。 【写真で見る】グリーンランドの絶景、アイスフィヨルド ■トランプ氏の発言同日、息子はグリーンランドに 1月7日、トランプ大統領は会見で「グリーンランドはアメリカの国家安全保障上必要だ」「デンマークはグリーンランドの領有権を放棄すべきだ。自由世界を守るためだ」と述べた。そしてグリーンランドを手に入れる手段として、「デンマークからの輸入品に高い関税をかける」「軍事行動を排除しない」などと脅して見せた。 大統領だった2019年にも「グリーンランドを買ってもいい」と発言していたトランプ氏は昨年末、「国家安全と世界の自由のためにアメリカはグリーンランドを領有・支配することが絶対的に必要だと感じる」とSNSに投稿、それを受けて記者たちがこの日の会見で真意を問う質問をしたのだった。 タイミングを合わせるかのように同日、トランプ氏の息子、トランプ・ジュニア氏がグリーンランドに降り立った。自家用ジェットである「トランプ・フォース・ワン」で、滑走路の延長工事を昨年終えたばかりのヌーク(自治領の行政の中心)の空港に到着したジュニア氏は、「プライベートで来ただけ」としつつ、アメリカ国旗を持って、MAGAキャップを被った地元の人と撮った写真を投稿するなど、象徴的なインパクトを残した。 トランプ氏の発言について、グリーンランドを自治領として有し、NATO加盟国でもあるデンマークのフレデリクセン首相は、「アメリカは同盟国であり、北大西洋においてはロシアなどではなくアメリカが大きな役割を果たすことが我々の利益にかなう」としつつも、「グリーンランドはグリーンランド人のものであり、売り物ではない」と諫めた。