日本の株式市場にはびこる「配当」の思い込み 一般投資家にとっての株式の「真の」魅力は? アメリカと比較
「隣の企業が30%の配当性向を目標としているから、わが社も30%にすればいい」との横並びの発想である。 これに対してアメリカの場合、より高い配当性向の企業が多い。「成長のための投資対象に乏しいのなら配当を」との意識の強い企業が多いからだろう。企業経営のことをより真剣に考えているともいえる。 ■トータルリターンが大きければ満足 株式を保有することは、企業のオーナーになることに等しい。企業が成長してくれさえすれば、とりあえずのところ配当を支払ってもらう必要がない。
株主として、たとえば家を買うための資金が欲しくなれば、株式を売却して現金化すればいい。 株式を購入して以降、配当として支払ってもらった金額(インカムゲイン)の累計と、株式売却代金と当初の購入代金との差額(キャピタルゲイン)とを足した金額、すなわちインカムゲインとキャピタルゲインの合計額であるトータルリターンが十分に大きければ満足できる。
川北 英隆 :京都大学名誉教授、京都大学成長戦略本部・証券投資研究教育部門 客員教授