玄人好みの4ドア X 4シリンダー【1】1代限りとなったカリーナベースのFRスポーツセダン
玄人好みの4ドアX4シリンダー|1981年式 トヨタ セリカ カムリ 2000GT 国産初の本格スペシャリティーカーとして、1970年にデビューしたセリカ。78年に派生モデルとして上級車のセリカXXを発売してラインナップの拡充を図ったわけだが、80年1月にはカローラ店の最上級車種としてニューカマーをリリース。それが4ドア版のセリカカムリだ。 セリカカムリは、当時の小型乗用車における需要の多様化に応えるべく、「走行性能に優れた高級スポーティーセダン」として開発。その名が示す通り血統的にはセリカだが、実際にはA40系カリーナセダンがベースとなっており、セリカのスポーティーさを受け継ぎつつ、カリーナよりも上級車種という位置付けだった。 基本的なスタイリングは、ベースとなったカリーナと同じ端正なセダンボディ。しかしフロントマスクは、角形2灯ヘッドライトを採用し、あのトヨタ2000GTや初代セリカXXから受け継がれたT字型グリルを装着。さらにトランク後端部を跳ね上げたヒップアップテール、逆アールのついたリアエンドなどで、個性を主張しつつカリーナと差別化された。その一方で、インテリアはメーターパネルに木目調パネルが貼られて高級感を演出しているものの、基本的にはカリーナと造形は同じだ。 【画像16枚】スポーツ性と高級感を併せ持つ走りの上級ミドルセダン。メーターは独立4眼式。タコメーター内に油圧計も収められている。2L DOHCの18R-GU型に、EFIを組み合わせた18R-GEU型。1気筒あたりのバルブ数は2つだが、DOHCらしい高回転でのパンチ力は格別 開発コンセプトは「高級スポーティーセダン」 シャシーはもちろん、A40系カリーナと同じ。サスペンションはフロントにストラット、リアは4リンクを採用。エンジンは、「スポーティーセダン」といううたい文句とは裏腹に、実用エンジンの1.8ℓOHVの13T‐U型と、1.6ℓOHVの12T‐U型という2種を搭載。しかしデビュー約8カ月後には、2ℓDOHCの18R‐GEU型、2ℓSOHCの21R‐U型、EFI仕様である1.8ℓOHVの3T‐EU型を追加。なかでも18R‐GEU型はカリーナやセリカのほか、コロナやマークⅡにも搭載され、シルエットフォーミュラのセリカLBターボに搭載されたエンジンのベースにもなったスポーツユニットだ。また、新エンジンを搭載しただけでなくリアサスペンションも4リンクからセミトレーリングアームに変更。さらに4輪ディスクブレーキがおごられるなど、走行性能を高めるべくエンジン以外もアップデート。開発コンセプトの「高級スポーティーセダン」にふさわしい、走行性能を手に入れたのだった。 こうしてカリーナやセリカとは違った独自の路線を歩んだセリカカムリだったが、82年3月にFFプラットフォームを用いた新型にバトンタッチ。車名も「カムリ」となり、セリカカムリの歴史は1世代わずか約2年で幕を下ろした。 約2年で幕を降りしたセリカカムリ。FRスポーツセダンに憧れていたオーナーは…… こんな短期間しか生産・販売されなかったレアなセリカカムリのオーナーは、ハチマル世代のクルマが好きで以前はGX71チェイサーに乗っていたが、FRスポーツセダンにもあこがれを持っていた。そして昨年3月、岐阜県のアウトレーベン・シャッツェスにセリカカムリが入庫したことを知り、早速現車確認。実際に車両を見たら、欠品がなくコンディションも抜群だったため、すぐに購入を決意した。また、同世代のカリーナやカローラより珍しいことも購入の後押しとなったそうだ。なお現在はフルオリジナルだが、今後は当時風にカスタムする予定。オーナーとセリカカムリとのカーライフは始まったばかりだ。 「ハチマル車が年々高騰しているので、今後ほかのクルマに乗り換えることができないかもしれない。そう考えたとき、コレしかないと思ったんです」と、購入当時のことを話すオーナー。GTのイメージカラーだったダズリングレッドだったことも大きなポイントで、チェイサーから乗り換える決め手になったそうだ。そして「古風なツインカムエンジンを味わえる希少なスポーツセダンを所有できてうれしいですね」と、セリカカムリとの出合いに感謝していた。 SPECIFICATIONS主要諸元セリカ カムリ 2000 GT(RA55) 全長×全幅×全高(㎜) 4445×1645×1395ホイールベース(㎜) 2500トレッド前/後(㎜) 1350/1385車両重量(㎏) 1125エンジン型式 18R-GEU型エンジン種類 直列4気筒DOHC総排気量(cc) 1968ボア×ストローク(㎜) 88.5×80.0圧縮比8.3:1最高出力(ps/rpm) 135/5800最大トルク(㎏-m/rpm) 17.5/4800変速比 1速3.566/2速2.056/3速1.384/4速1.000/5速0.850後退4.091最終減速比 4.100ステアリング ボールナットサスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアームブレーキ ディスク(前後とも)タイヤ 185/70R14(前後とも)発売当時価格 151.6万円 初出:ハチマルヒーロー vol.48 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部