「日本の小中学生」の「読書量」が過去最高水準になっているのに対して、過去最低にまで読書量が減少してしまった「英国の子どもたち」の実態
文章を楽しんで書く子どもの割合も減っている
なお、やはりNLTによる“Children and young people’s writing in 2024”によれば、UKでは文章を好きで書く子どもの割合も過去最低の状態にある。 学校でのライティングと自由時間でのライティングでは「学校でのライティングの方が楽しい」と感じる生徒が多く、教師のサポートや明確な構造が与えられたほうが「書ける」実感があるのだと思われる。逆に言うと自由な創造性の発揮の手段として文章を作成したいという気持ちは薄れているようだ。 報告書では給食費免除(FSM)対象の生徒(つまり低所得者層)の方が、非対象の生徒よりもライティングを楽しみ、より頻繁にライティングを行う傾向が見られ、社会経済的な不利がかならずしも文章表現への意欲を阻害するわけではない――などと書いている。 だが、それはしんどい状況に生きている子のほうが言いたいこと、どこかにぶつけないとやっていられない気持ちが溢れているからだろうと筆者は思う。 UKの国語力、国語教育が心配になる調査結果ばかりが出そろっていると言える。 UKの子どもの読書は、やはりNTLによるコミック読書や音声コンテンツに関する調査を合わせて見ていくと、さらに興味深いことがわかる。 後編記事『 いまだ「マンガは読書と認めない」という考えが根強い日本に対して、じつは「英国」では「コミック」読書にも大きな価値が認められていた…!』へ続く。
飯田 一史(ライター)