「日本の小中学生」の「読書量」が過去最高水準になっているのに対して、過去最低にまで読書量が減少してしまった「英国の子どもたち」の実態
子どもの読書率が下がっていくのも当然!?
デジタル化への対応も課題として挙げられており、調査では41%の学校が図書館内でデジタルデバイスを提供していないと報告されている。しかも割合は2019年の37%よりも増加しているのである。また、電子書籍を提供していない学校も51%で、停滞している。やはり主には予算不足や技術導入への支援体制の欠如、そもそもの法的・制度的な不備によると考えられている。 日本は学校図書館法によって小中高・特別支援学校に学校図書館の設置義務、司書教諭は原則配置、学校司書も配置が推奨と法で定められている。それでも司書の非正規雇用(会計年度職員として1年単位での雇用、長くて4回5年の契約が最多だと日本図書館協会が発表している)や複数校兼務による十分なケアができていないことが問題だと指摘されている。 英国の学校図書館は、全体平均で見ると日本よりずっとひどい。 これでは子どもの読書率が下がっていくのも当然だろうと思う。 逆に言えば日本も学校図書館の予算、官民あげての読書推進政策・施策が手薄になれば英国同様に転落の危機がいつでもある。 唯一UKのほうが日本よりすごいと思うのは、作家・詩人が学校を訪問した割合が2022年に46%もあることだ(これでも2019年の61%より下がっているものの)。
BookTokはUKでも盛り上がっているが……
「楽しみに読書をする割合」だけでなく「毎日読書する」8~18歳の割合も過去最低の20.5%になっている。 日本や北米のみならずUKでも本のTikTok売れ、いわゆるBookTokは盛り上がっており、書店チェーンWaterstones(ウォーターストーンズ)は、店舗内に「BookTokで話題の本」コーナーを設置し、若年層の読者の購買行動に大きな影響を与え、実店舗での本の売り上げ増加に貢献していると言われている。 日本では学校読書調査上では、TikTok売れが始まる前と後で中高生の読書率や読書冊数にそれほど大きな変化は見られない(とくに高校生は)。したがってTikTokをきっかけに「本を買う量」は増えたかもしれないが「読む量」を増やすことには実はそれほど貢献していないのではないかと筆者は思っている。これらの調査結果を見ると、UKでも同様なのだろうという気がする。