【政治決戦】2024年衆院選から2025年参院選へ 勝敗のカギはどこに?~“知ってたつもり”選挙の仕組みと数字でみる展望~
衆院選で自民が“大きく負けた”のは選挙区
では、参院選を考えるときに、各党の勢力に変動が起きるとしたら、何がポイントになるのだろうか。実は、衆院選の結果にヒントが隠されている。 自民党は今回の衆院選で大幅に議席を減らしたが、「小選挙区」と「比例代表」を組み合わせた選挙制度という観点から、その内訳を見てみると… <自民党> 小選挙区 公示前 189議席 →選挙後 132議席 30%減 比例代表 公示前 72議席 →選挙後 59議席 18%減 (※概数を示す「約」は省略。以下、同様) 小選挙区の方が議席の減少率が大きい。 つまり、「大きく負けた」のは小選挙区といえる。 一方で、それぞれの得票を見てみると… <自民党> 小選挙区 前回 2769万票 →今回 2090万票 24%減 比例代表 前回 1990万票 →今回 1469万票 27%減 不思議な話に思えるが、小選挙区の方が多くの得票をしているし、比例代表よりも前回からの減少率が小さい。 これは、まさに選挙制度が理由だ。比例代表は、政党ごとに議席が比例配分されるため、得票の「占有率(=シェア)」を反映する傾向が強い。 一方、小選挙区は1票でも多くとった候補が議席を獲得する、いわば選挙区ごとの「勝者総取り」の方式なので、得票率以上に差がつきやすいのが特徴だ。
参院選「選挙区」は何人が選ばれるかに違い
さて、参院選を展望するために、改めて衆院選との違いから考えてみたい。再度、選挙制度の概要を記すと… <衆院選> ・465人を一斉に選ぶ ・「小選挙区」 議員1人を選出する選挙区が289あり、289人が選ばれる ・「比例代表」 11ブロックで投票に応じて政党に議席を配分し、176人が選ばれる <参院選> ・248人を2回の選挙で半分ずつ選ぶ(124人ずつ改選) ・「選挙区」 都道府県をベースとする45の選挙区で、計74人が選ばれる ・「比例代表」 全国での投票に応じて政党に議席を配分し、50人が選ばれる 注目してほしいのは、衆院選では「小選挙区」、参院選では「選挙区」となっている点。 衆院選は、議員1人を選ぶ選挙区が289もあるのに、参院選は45しか選挙区がなく、選挙区の有権者の人数に応じて、議員1人~6人を選ぶ仕組みだ。 1人が選ばれる選挙区は衆院の「小選挙区」と条件が同じだが、選挙区で選ばれる議員の数が増えるほど「勝者総取り」の要素が薄まることになる。 玉木氏や野田氏、吉村氏が口にした「1人区」というのは、まさに参院選の「選挙区」で議員1人を選ぶ区のこと。 全国の45選挙区のうち32あり、与野党の勢力図を大きく変える可能性があることから、参院選における“勝敗のカギ”を握ると言われているのだ。