キレイでも栽培は絶対NG!植物の特定外来生物、見つけたら駆除したい美しくヤバい草花…除去に9600万円かけた事例も
外来種の中でも、特に生態系や人の生活、農林水産業などに被害を及ぼすリスクが高い生物は「特定外来生物」に指定され、厳格な規制対象となっている。昆虫では毒性が強いヒアリやセアカゴケグモ、魚類ではブラックバス、両生類ではウシガエル、哺乳類ではアライグマなどが有名だ。条件付きで飼育ができるアメリカザリガニやアカミミガメ(ミドリガメ)は子どもから大人までおなじみの特定外来生物。だが、意外と知られていないのが植物の特定外来生物だろう。身近に生息しているものも少なくないが、駆除や処分に多額の費用がかかり自治体などを悩ませている植物もある。庭仕事や散歩中などに見つけたら適切な方法で対処しよう。 【図】特定外来生物での禁止事項。栽培はもちろん、運搬もダメ (杉原健治:フリーライター) ■ 熊本で大繁殖したウォーターレタス 最近、熊本県で問題となったのが特定外来生物に指定されている「ウォーターレタス」だ。水草の一種で繁殖が高く、熊本県中部を流れる加勢川で大発生して、まるで草原かと勘違いするほどに水面を緑一面に覆ってしまった。 ウォーターレタスはアフリカ原産の多年生の水草で、日本名では「ボタンウキクサ」と呼ばれている。もとは観賞用として100年ほど前に日本に持ち込まれ、現在では西日本を中心に全国で確認されている。 水に浮くレタスのように見えるためウォーターレタスと呼ばれているが、食べると口腔内に炎症を引き起こす可能性がある「カルシウムオキサレート」という化学物質が含まれている。 2023年には、熊本市と国で合わせて9600万円もの費用をかけてウォーターレタスの除去・焼却を実施。しかし、いまだ根絶にはいたっていない。
■ キレイな見た目に要注意! オオキンケイギク 日常の中でも、意外と気づかないところに特定外来生物はいる。たとえば5月から7月にかけて河原や土手などに咲く「オオキンケイギク」は、コスモスに似た見た目をしているが特定外来生物だ。 オオキンケイギクは北アメリカ原産の多年草で鑑賞用として持ち込まれ、現在は野生化したものが全国各地に分布しているという。こちらも繁殖力が非常に高く、在来の植物の生育を脅かす。 直径5センチほどの黄色い花で一見綺麗な見た目をしているが、特定外来生物に指定されているため栽培や運搬は禁止されている。うかつに持ち帰ってしまうと法律違反となるので注意が必要だ。