【政治決戦】2024年衆院選から2025年参院選へ 勝敗のカギはどこに?~“知ってたつもり”選挙の仕組みと数字でみる展望~
自民にとっての“カギ”は「無党派」
では、与党側、とりわけ自民党にとって参院選の“カギ”は何だろうか。近年の日本の国政選挙では、「無党派」と呼ばれる人たちの動向が大きな影響を与えることが、広く指摘されている。 「無党派」とは、特定の支持政党を持たない有権者のこと。FNNが14日~15日に行った世論調査で、支持する政党を聞いたところ、「支持政党はない」と答えた人は、36.9%だった。これは、どの政党の支持率よりも高い比率だ。日本の有権者で最も多いのは、特定の支持政党をもたない人々だということを意味する。 古くは「支持政党はない」と答える人を“政治に関心がない人”と捉えていた時期もあったが、近年では“政治に高い関心をもっているがゆえに特定の支持政党をもたない人”が数多く含まれていることが明らかになっていて、「積極的無党派層」という用語もある。 この「無党派」と呼ばれる人たちは、2024年の衆院選で、どの党に投票したのだろうか。FNNの出口調査を見てみたい。 <「支持政党なし」と答えた人の比例投票先> 1. 立憲 25% 2. 国民 18% 3. 自民 13% 4. 維新 12% 自民党は3番手、しかも13%という低い水準にとどまっている。「政治とカネ」の問題が直撃し、「無党派」が自民党を選ばなかった“自民離れ”の表れといえる。 かつて小泉元首相や、安倍元首相は、「無党派」も取り込むことで選挙に勝利していた。 参院選までに、失った信頼の回復や、国民生活の向上といった実績、魅力的な政策を示すことで、再び「無党派」からの票も得ることが重要といえる。
再び“台風の目”となれるか国民民主党
最後に、衆院選で躍進し、その後の政局で影響力を発揮している国民民主党についても展望したい。 国民民主党にとっての参院選における“躍進のカギ”の1つは、自民を超える得票を得た「無党派」の支持をつなぎ止め、拡大できるかだろう。 もう1つ注目したいのは国民民主党を推している「年代」だ。 衆院選の出口調査における「年代」ごとの投票先を見てみよう。 <年代別の「投票先は国民民主党」の比率(比例代表)> 10代 20% 20代 25% 30代 20% 40代 14% 50代 10% 60代 7% 70代 5% 80歳以上 3% 国民民主党への投票は、10代~30代で高い水準だ。 これには複数の要因が考えられ、SNSを活用した選挙戦略や、働く若者にビビッドに響く「手取りを増やす」といった政策提示などが挙げられる。 参院選においても、国民民主党にとって、この年齢層が主要なターゲットになるだろう。 まさに「手取りを増やす」政策をどれだけ実現できるか、あるいは実現への道のりを具体的に示すことができるかが焦点となるだろう。 【取材・執筆 フジテレビ政治部デスク・古屋宗弥】
古屋宗弥