伏線になった2度のサイン 遠藤保仁を彷彿…衝撃の直接FKは「出来すぎですね」【コラム】
CKからアシストも記録「ジェジ(ジェジエウ)が本当に素晴らしかった」
「3点目は大事なので大きかったですね。CKに関しては、僕はどちらかというと場所に蹴っている感じなので。あとはもう中の、今回だったらジェジ(ジェジエウ)が本当に素晴らしかった、という感じですね。怪我などで本当に大変だったと思うので、ゴールを決めてくれたのはチームとしても大きいですよね」 山東には今年2月に行われたACL2023-24のラウンド16で、アウェイで3-2と先勝しながらホームで2-4と敗れ、2戦合計スコア5-6で敗退している。山本にとっては、G大阪から移籍加入後で初めて臨んだ公式戦。リベンジを期す思いは強かったと、最終的には4-0で圧勝した試合後に明かしている。 「僕自身はあのゲームはすごく悔しかったし、いま自分たちが臨んでいるACLEにおいてもすごく大事なゲームだったので、内容的にもしっかりと勝てたのはよかったと思っています」 通算成績を4勝2敗とした川崎は東地区の4位をキープ。鬼木達監督に代わる新体制のもとで敵地へ乗り込む、来年2月の浦項スティーラーズ(韓国)との第7節で勝利すれば、決勝トーナメント進出が決まる。 「ACLEの最初はちょっと難しいゲームもあったけど、ここまで来られたのは良かった。タイトル争いもできず、悔しいシーズンになりましたけど、それでも最終節は勝って終わることが何よりも大事になってくる。今のメンバーで試合ができるのも最後なので、期間は短いけど、しっかりと準備して臨みたい」 直接FKの名手・遠藤保仁氏を彷彿とさせる、相手の虚を突く衝撃的なスーパーゴールの余韻を残しながら、山本はその視線をホームにアビスパ福岡を迎える8日のJ1リーグ最終節へ向けている。キーパーを含めた相手守備陣の意図を見抜く観察眼と、とっさに描いた青写真を具現化させる正確無比なキックと、そして自分だけの世界に入れる強靱なメンタル。何度も山本の口を突いた「出来すぎ」には、謙遜の思いが込められていたようだ。 [著者プロフィール] 藤江直人(ふじえ・なおと)/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
(藤江直人 / Fujie Naoto)