FXの投資手法「トラリピ」に被害者が続出 想定内レンジなら有効だけど…【シニアのためのマネー講座】
【シニアのためのマネー講座】#112 「また排水管が詰まった!」 3日に一度は登場するウチのラバーカップ。これはトイレとかキッチンが詰まったときに使う「バッコン!」っていうアレだ。 投資家が歓迎するのは? 自民党総裁選を「先読み」「裏読み」する 「だ~か~ら~、流しのなかに、普通のゴミを捨てるな! って言ってるだろ!」 しかし、カミさんの癖は直らない。とはいえ、今日もひとり寂しく、長い鉄製のワイヤー(パイプクリーナー)で、穴の中を突っついてみる。 詰まりの原因は……そう、大体は流しの下にあるS字の「トラップ」にある。ここにゴミが引っ掛かっているのだ。繰り返し起こるので、ウチでは「トラリピ~(IKKO風)」と呼んでいる。 市場でも「トラリピ」という投資手法が存在している。主にFX(外国為替証拠金取引)で使われているもの。一定のレンジで売り・買いを設定しておけば、あとはお任せ。仕事や寝ている間でも、自動的に売買してくれる。想定レンジ内であれば、コツコツと利益を積み上げてくれるのだ。 しかし、当然、弱点もある。それは大きなトレンドに出合ったとき。一方通行に上昇したり、下落した場合には、どんどん損失が膨れ上がっていく。そして耐え切れなくなったら、ギブアップ。強制決済。証券会社に入れた証拠金をすべて失ってしまう……。 ドル・円相場は、今年の初めに1ドル=141円くらいだったが、7月には一時161円台の円安に。しかし、9月には再び141円に戻ってしまった。これはリピートする暇もないほどの荒い値動き。当然、被害者も続出となってしまった。 自分でトラップを仕掛けたつもりでも、逆にトラップにハマってしまったのだ。 「自動売買」「時間が有効利用できる」「勝手に増える」──魅惑的な言葉が並ぶが、投資の世界はそんなに甘くはない。 そもそもFXの世界は「ゼロ・サム・ゲーム」。勝者の裏には必ず敗者がいる。同時に意外と「見えない手数料」も存在しているものだ。見方によれば、業者にカモられている可能性すらある。もう一度、投資手法を見直してみてはどうか。 「悪いトラップなので、良いトラップに替えましょう」 シニアが業者にちょっとでも隙を見せたら、たちまちこうだ。その前に「妻を替えたほうが良い」と考えるのは、もちろん私だけだろうが……。 (黒岩泰/株式アナリスト)