「妻の葬儀で聞こえにくさを痛感」70代男性の実例をもとに<補聴器>購入から活用までのプロセスを専門家が解説
2週間後「補聴器に対して前向きに変化」
そして2週間目になると、「だいぶ慣れてきたけど、耳から落ちやすい気がする」「テレビのニュースは言葉が聞き取りやすくなったけど、ドラマのセリフはまだ難しい」「日常生活でキンキン、カンカンする音が少し気になる」など、かなり具体的な感想を頂けるようになっていました。だいぶ補聴器に慣れていらっしゃるご様子です。 さらに、実際にどのくらいの時間、補聴器を装着していたのかをお伝えしてみました。毎日だいたい11時間補聴器をつけていたことが判ると、ご本人は「すごい!」と目を輝かせていらっしゃいました。1日中つけることが早く慣れるコツですよ、とお伝えして、その通りに実践してくださっていたのですが、改めて数字でお伝えしたことで、日々の頑張りを実感いただけたようで、喜んでおられました。 最初にご来店した時の「別に困っていない」「補聴器は嫌だよ」とお話されていたお父様と同じかたとは思えないほど、補聴器に対して前向きに変わっていました。
調整することで「さらに聞こえるようになる」喜び
それからAさんは、毎日起きている間は補聴器をつけてくださるようになりました。そして「この音がいやだ、この音は聞こえたからよかった」など、さまざまなリクエストや感想を伺いながら、ご一緒にご自身に合う補聴器をお試しいただきました。 その結果、人の声の聴きやすさと取り扱いのしやすさから、最初の週に試した補聴器を購入して頂くことになったのでした。 そして購入後1か月後の調整の際には、「この前、会合で今まで聞き取れたなった人の声が聞こえた」といったご感想も頂けるようになり、以前よりも生活が活動的になったんだと感じ、とてもうれしくなりました。 *** このように補聴器は気になっているけど踏み出せないという人は意外と多いのではないでしょうか? 「自分はまだ補聴器なんて…」と思われている人でも、実際につけてみて効果が実感できると「これまでなぜ自分は補聴器をためらっていたんだろう」とおっしゃるかたは本当に多いんですよ。 ★うぐいす智子先生のワインポイントアドバイス! 「補聴器は恥ずかしい」という先入観をもっているのはもったいない!一歩踏み出せば、人生は180度変わるかも 取材・文/立花加久 イラスト/奥川りな