ディジュリドゥ奏者・画家GOMA「交通事故で脳に障害、記憶を失っても音楽活動は諦めなかった。意識が戻る時に見てる〈ひかりの世界〉を描かずにはいられない」
◆今の自分を否定せず生きていきたい 18年にNHK Eテレで放映されたドキュメンタリー『Reborn~再生を描く~』の制作中、アメリカで専門医の診察を受け、後天性サヴァン症候群と診断されました。外的要因で脳を損傷して意識が消失し、そこから意識が再起動した人にのみ起こる症例で、僕は正式に診断された60人目だそう。 そして後天的に花開いた能力は、実は生まれながらに持っていたものなのだとか。成長過程で怒られたり否定されたりするなかで閉じ込められていたものが、脳が傷ついたことで蓋が開くケースがあるそうです。 サヴァン症候群の権威である先生から、「新たにもらったギフトが消えた人はいない」と聞いて、少しほっとしました。 実はそれまで、いつか絵が描けなくなってしまうんじゃないかと怯えていたのです。事故のおかげで絵を描くようになり、自分の人生が映画やテレビ番組、本になるなど、いろんな出会いをもたらしてくれたから。だからこそ、アメリカでの経験がきっかけになり、本当の意味で前向きになれた。 後遺症は今も続いています。でも、諦めたり、今の自分を否定したりしていては先に進めません。これからは音楽も絵も生き方も、すべてを融合させて人生を歩んでいきたいですね。 (構成=篠藤ゆり、撮影=大河内禎)
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