【テニスルール虎の巻】対戦相手の仲間が撮影するビデオカメラが気になって試合に集中できない時<SMASH>
多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。 【動画】テニスツアーで見かけた審判たちのオモシロ映像 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。 今回は「試合会場での撮影」についてです。よく会場では試合を記録するためにビデオカメラを設置しているプレーヤーがいます。ですが、対戦相手の仲間が撮影するビデオカメラが気になって試合に集中できない場合は、どのように対応すればいいのでしょうか。 ◆ ◆ ◆ 対戦相手側のビデオカメラや試合とは無関係と思われる人のカメラが気になりプレーに集中できないのであれば、対戦相手にそのことを伝えるか、ロービングアンパイア(セルフジャッジの試合会場を巡回している審判またはレフェリー)を呼んで撮影を中止してもらいましょう。 ジュニアの大会などでは、保護者がコートの外で三脚を立てて自分の子どものプレーを記録しているケースを多く見かけます。これは単に思い出として撮影しているほか、子どものプレーを分析する目的で撮影している場合がほとんどです。 ただそこには相手選手も映り込むわけですから、肖像権など色々考えた場合、不要なトラブルを避けるためにも必ず撮影する際には事前に相手に伝えて撮影許可を取るべきでしょう。 そして利用はあくまでも個人の範囲内で行なうことです。前述したように自分のプレーを見てスキルアップに活用する。あるいは自身の記念画像として保存するという具合です。相手が映っている画像を勝手に動画サイトやSNSに投稿するのはダメだと思います。 また近年は別の理由で撮影が禁止されているケースもあります。それはリアルタイムの撮影データを不正な「賭け(ギャンブル)」に利用させないためです。国際大会などでは「コートサイドからの記録の送信はしないでください」と会場内に明記されていることもあります。こうした措置は八百長などの不正行為の防止にもつながっています。 解説●岡川恵美子 17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。日本テニス協会理事。 構成●スマッシュ編集部 ※スマッシュ2024年7号より抜粋・再編集