いよいよストーブリーグ 来季の監督人事も活発化
プロ野球のペナントレースが佳境に入っているが、その裏で来季の監督人事に関しての動きも活発化している。まずはセ・リーグ。阪神の和田豊監督(51)は3年契約の3年目だが、オーナー筋のリークから巨人との首位決戦のさなかに続投報道が相次いだ。ただ続投は決定ではなく、本拠地甲子園開催のCS出場、つまり2位が続投条件のようで、ここから先に負けが込むようならば急転、監督交代もありえる。 しかし、村上ファンドの買収騒動以降、阪急阪神HDになってから、本社からのエンターテイメント部門、すなわち阪神タイガースへの利益増を求める圧力が強く、「できるだけお金を使わずに観客動員を増やせ!」という経営者にとって都合のいい理論を球団サイドが押し付けられて苦労をしている。そういう内部事情もあって、お金のかかる監督交代は、できるなら避けたいのが本音。本社の株主総会で株主から和田監督の采配を批判されるなど、逆風が吹いていたが、優勝ができなくとも2位を確保すれば続投だ。 微妙なのは横浜DeNAと巨人で、どちらも今後の成績次第。横浜DeNAは、昨季も交代か留任かをギリギリまで検討。中畑清監督(60)の続投が決まったのは10月に入ってからだった。ハマスタのボールパーク化構想など多彩なファンサービスと営業戦略が功を奏して観客動員が増えていて、中畑監督の協力姿勢と明るいキャラクターへの評価は高い。しかし、その一方で指揮能力への疑問は残っている。今季、フロントは積極的な戦力補強に動き、FAで獲得した久保が10勝。「一人10勝投手が出れば波及効果が生まれる」の目論見どおり、若手の井納も2桁に乗った。投手陣では(高橋)尚成は誤算だったが、シーズン途中にはキューバからグリエルを獲得して打線の起爆剤となった。 それだけ金を使って動いてもCS出場を果たせなければ、現場の指導力不足と判断されても仕方がない。勝たないとお客さんは離れるが、スポーツビジネスの基本であることを横浜DeNAの幹部は理解しているからなおさらだ。監督交代となる際に、横浜DeNAは、球団の斬新な考えを理解できる監督を求めており、新監督は一気に若返りそうだ。また巨人の原辰徳監督(53)も、もし優勝を逃すようなことがあれば、どう転ぶかわからない。大胆な采配を続けてきたが、負ければ、その責任論が噴出する可能性は大。