90歳認知症初期の母と同居を始めて。冷蔵庫は腐った食材で満員御礼!無駄遣いをやめさせたいが、財布は絶対に渡してくれない
2020年に総務省が公開したレポートによると、遺品整理にかかる見積もり金額で多いのは10~40万円の間の取引だそう。いつかはやってくる遺品整理に不安を感じている方もいらっしゃることでしょう。そのようななか、平均年齢90歳、父母と叔父叔母の4人の介護をするフリーライターのこかじさらさんは、「とっとと逝ってくれ、と毎日のように思っています」と話します。そのこかじさん、「高齢者あるあるは枚挙にいとまがない」とも言っていて――。 【書影】4人の家族を介護するフリーライターの日々がエッセイに!こかじさら『寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ』 * * * * * * * ◆腐った食材で冷蔵庫は常に満杯御礼 「実家に帰ったら、卵のパックやウインナーソーセージが冷蔵庫にいくつも入っていた」 「ウチの姑は、買い物へ行くたびにニンジンとジャガイモを買ってくる」 「夫の実家の台所は、恐ろしいほどの食料品が足の踏み場もないほど山積みになっている」 こうした高齢者あるあるは枚挙にいとまがない。 我が家の冷蔵庫もご多分に漏れず、老母が日々せっせせっせと買い込んでくる食材で常に満杯御礼だ。 我が家の目の前には、生鮮食料品以外何でも取り扱っている大型ドラッグストアが、ゆっくり歩いても数分のところには総合スーパーとコンビニがある。 ありがたいほど便利なのだが、食欲と買い物欲が人並み外れて旺盛な老母がいる我が家にとっては痛し痒し。 「ウチは合宿所ですか!」 そう突っ込みを入れずにはいられないほど、隙あらば買い物に出掛け、目に入ったものを手当たり次第買ってくる。
◆買い物を私に任せるわけがない しかも、何があって何がないのか、本当に必要かどうか、消費期限が迫っているものはないかなどの管理がすでにできなくなって久しい90歳。 縁日に出掛けた子どものような勢いで欲求の赴くままに買ってくるのだから、水が出てベチャベチャになった青菜やもやしなどの野菜類、とっくのとうに賞味期限の切れたベーコンや練り物、カビの生えた佃煮や漬物、さらには数年前の日付の冷凍食品などで我が家の冷蔵庫は常に溢れかえっている。 だったら、あなたが代わりに買い物へ行き食材の管理をすればいいではないか。と思う人もいるだろうが、それこそ高齢者と同居したことのない人が言う台詞である。それができれば誰も苦労はしない。 「スーパーの揚げ物は、おかあさんしか食べないのに、何でこんなにたくさんの唐揚げや天ぷらを買ってきちゃうの?」 「食べる量を考えずに買ってくるから、いつも腐らせちゃうんだよ」 「食べたかったら、2個入りとか3個入りとか、自分が食べる分だけ買ってくればいいでしょ。少量パックのものも売ってるんだから」 毎日のようにこうしたやり取りが繰り返されてはいるが、 「居候のくせに、親の私がやることにいちいち口出しするんじゃないよ」 実の娘に向かって真顔で居候と言い放つような人が、買い物を私に任せるわけがない。
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