【知らないと不可避】夏は暑くて、冬は寒い…念願のマイホームが「光熱費がかさむ家」になる“まさかの元凶”【元住宅営業マンが助言】
「家は3回建てないと成功しない」と言われますが、マイホームは多くの人にとって人生最大の買い物。そう何度も建てられるものではありません。本稿では、住宅系YouTuber・まかろにお氏の著書『初めてでも失敗しない 家づくり超攻略法』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、家づくりを一度で成功させるために知っておきたい知識を紹介します。
日本の住宅は「断熱・気密性能」がますます求められる時代へ
--------------------------------------------------------- <POINT> 省エネや健康の観点から、住宅の断熱・気密性能の重要度が増しています。今は各社が断熱・気密性能の向上を図っている過渡期です。 --------------------------------------------------------- 現在の住宅業界は過渡期です。背景にあるのは、地球環境への配慮です。つまり、建物の断熱性能・気密性能を向上させることで、より省エネな住宅をつくっていこうというのが昨今の流れなのですが、ハウスメーカーによって、その対応に大きく差があるのが実情です。 住宅業界では、1999年に断熱等性能等級4(当時の最高基準)が制定されて以来、23年後の2022年3月まで、ずっと同じ基準が維持されてきました。そして、2022年4月から断熱の最高等級5が定められ、同年10月からは最高等級が7にまで引き上げられました。 これにより、これまで断熱・気密性能に関してほとんど進歩がなかった日本の家づくりが、ようやく動き始めたわけです。 冬の日本の住宅の室内平均温度は約10度です。これは、ロシアやデンマークなど、日本よりも高緯度に位置し、寒さが厳しい国よりも低い数値です。つまり、世界的に日本は家の中が圧倒的に寒いのです(図表1)。 日本では、交通事故による死亡者数よりも、冬の入浴時など、急激な寒暖差で血圧が乱高下することによる「ヒートショック」で亡くなる人の数の方が多いような状況です。また、夏においても、熱中症の発生場所として最も多いのは、実は家の中です(図表2)。 これらのリスクは、住宅の断熱・気密性能が低いことが一因です。さらに、法改正により2025年4月から、新築住宅は省エネ基準に適合するよう義務付けられる予定で、断熱・気密性能がますます求められる時代になってきています。