かつて解散になった宗教法人「法の華」「明覚寺」 ――その背景と統一教会との共通点
違法とされた統一教会の勧誘
2019年6月に施行された改正消費者契約法では、「不安をあおったり、霊感などを持ち出されたりした霊感商法的な契約や取引は取り消すことができる」という条件が第4条で付け加えられた。 だが、霊感商法に対する判例は、法の華やオウム、明覚寺などより早くに出ている。1994年5月27日に福岡地裁で言い渡された統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の判決だ。判決は統一教会への献金勧誘行為は<社会通念上相当と認められる範囲を著しく逸脱する勧誘行為であり、違法である>と断じている。 では、法の華や明覚寺はなぜ解散を検討されたのか。 解散命令が検討された1999~2000年当時、文化庁宗務課長だった戸渡速志・国立大学協会事務局長は、両団体の活動が宗教活動を装ったただの金集めだったことが大きいと振り返る。
「たとえば、願をかけて、お賽銭を出すのは日常的にあることです。でも、例えば、掛け軸に800万円、祈祷に1000万円という多額のお金を自発的に出すでしょうか。両団体の被害者は、団体のマニュアルでそう仕向けられていただけです。そこに違法性を見たからこそ、警察の捜査が入ったのだと思います」 両団体の解散命令請求について、新旧さまざまな法人の代表者が参加する宗教法人審議会でも異論はなかったという。 「みなさん、法の華と明覚寺については宗教法人法81条第1項第1号に違反しているという認識があったのだと思います。解散命令請求にまで至ったのは、民事だけではなく、刑事事件として捜査機関によって違法性の事実認定がなされていたことが大きかったと思います」 では、かつて旧統一教会が問題になったとき解散命令が請求されなかったのはなぜなのか。戸渡氏は自身が宗務課にいたときには議題に上らなかったとしたうえで、やはり刑事事件の有無が関係するのではないかと言う。 「いったん公的に認証された宗教法人に対して、国(裁判所)が解散を命じ、法人格を奪うことは簡単なことではありません。私が(宗務課に)いた頃はオウムの事件後で宗教法人に対して厳しい空気があり、それが影響したのも確か。それ以前は、文化庁の解散命令請求はなかった。もしいま解散を論じるとすれば、違法性のある行為をどれだけ認定できるかになるのではないかと思います」