かつて解散になった宗教法人「法の華」「明覚寺」 ――その背景と統一教会との共通点
法の華と統一教会の共通点
法の華と争った前出の釜井弁護士は、過去に霊感商法などで多くの被害が認定されてきた旧統一教会が解散命令を請求されなかったのは違和感を拭えないと言う。法の華も旧統一教会も執拗な勧誘と高価な宗教グッズの販売などで、多数の「信者」に多額の経済的被害とそれに伴う精神的損害を与えたという点では同様だった。また、法の華の当時の東京の本部拠点は、渋谷の旧統一教会のすぐ近くに設置していたほどだった。 「その法の華では幹部が実刑になり、解散にまで至った。なのに、旧統一教会は長く立件されず、生き残ってきた。これは、政治の力が働いたから以外には考えにくいです」 旧統一教会には2009年に警視庁の捜査が入り、印鑑販売をしていた関連会社などで幹部数人が実刑判決となった。裁判では<相当高度な組織性が認められる継続的犯行>と認定されたが、同会への解散命令請求にまでは至らなかった。 いま再び、旧統一教会に対して解散命令を求める声が上がっており、消費者庁では河野太郎消費者担当大臣のもと、霊感商法への新たな対策が講じられようとしている。今度はどこまで迫るのか。議論の行く末を国民が見守っている。
------ 森健(もり・けん) ジャーナリスト。 1968年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、総合誌の専属記者などを経て独立。『「つなみ」の子どもたち』で2012年に第43回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『小倉昌男 祈りと経営』で2015年に第22回小学館ノンフィクション大賞、2017年に第48回大宅壮一ノンフィクション賞、ビジネス書大賞2017審査員特別賞受賞