かつて解散になった宗教法人「法の華」「明覚寺」 ――その背景と統一教会との共通点
活動の内容は、法の華と非常に似ている。 <あらゆる悩みを解決します><霊障による苦しみや悩みを霊視によって原因を究明します>などと記した新聞の折り込み広告などで宣伝。問い合わせてきた人を「寺」と称するビルの一室などに勧誘し、やってくると「教師」という名の霊能者とされる人物が“霊視”を行い、「水子の祟り」「先祖霊の祟り」などと脅かす。その上で、供養しなければ「子どもが自殺する」「夫が交通事故に遭う」「結婚できない」など不幸を並べたて、供養に多額のお金を支払わせた。その額は少ない人で60万円、多い人では数千万円に及んでいた。 明覚寺は女性を多くターゲットにしていた。それは水子や先祖という話でつけこみやすかったからだと瀬戸氏は言う。 「先祖を何代も遡れば、誰だって水子もいるし、悪い病気や死もある。当たり前の話です。けれど、暗い部屋で逃げられないような状況で『お金と子どもとどちらが大切か』といった迫り方をされ、多くの人が支払いに追い込まれていた。これには組織的なマニュアルがありました」 事態は警察の摘発で動いた。1995年10月、愛知県警が詐欺の疑いで名古屋の満願寺の住職を逮捕。さらに、翌年には教団トップらも詐欺の疑いで逮捕され、実刑判決を受けた。民事でも1999年4月、和解金11億円を支払うことで、明覚寺側は被害者と和解した。
明覚寺に地裁が解散命令
瀬戸氏は、宗教であろうがなかろうが、社会通念から見て許容する範囲を逸脱した行為があれば違法だと言う。 「裁判では、お金を収奪するのにマニュアルがあるなど組織的な活動があったことやその金額の多寡にも焦点が当てられていました。宗教への寄付の要請はあると思いますが、その要請がいくら高くてもいいとはならないでしょう。社会通念から逸脱していた活動だったので、明覚寺は違法性が認定されたのです」 こうした経緯を経て、文化庁によって明覚寺に対する和歌山地裁への解散命令請求が出されたのは1999年12月。実際に地裁が解散命令を出したのは約2年後のことだった。