「不安な人にこそ読んでほしい」 鈴木エイトが傍聴した『HPVワクチン被害』裁判レポート
手のひらを返した冷淡な対応に変わった
だが、私が法廷で目にしたことを含め、原告側にとって都合の悪い質問を原告団の会見で行い、その内容をSNSで発信するようになると手のひらを返したように冷淡な態度を取られた。期日後の報告会への入場も断られるようになった。 「メディア関係者の方がいると原告の方々が話しにくいので」 入場を断られた理由はこういうものだった。だが、原告の支援者であるメディア関係者は普通に入場を認められていた。 その後も継続して傍聴取材において体調の悪そうな車椅子の原告女性たちが“動員”されていることや、製薬会社側の会見内容を含め自分が見聞きしたことをSNSで発信してきた。 2018年から19年にかけては、当時新宿にあったネイキッドロフトにおいて医療系のトークイベントを複数回開きモデレーターを務めた。 この8月18日にも、産婦人科医の稲葉可奈子氏と高橋怜奈氏、医療記者の岩永直子氏をゲストに迎え、医療系トークイベント『緊急開催!「HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)と副反応」徹底検証!』をトークライブハウス・ネイキッドロフト横浜で開く。 通常のトークイベントよりも会場チケットの値段を下げ、配信チケットについても有料配信の最低料金である300円に設定してもらった。HPVワクチンの副反応に不安を抱く人へ適切な情報が届くことを願ってのことだ。
傍聴レポートが1000万回の反響を呼んだ理由
2016年の提訴後、書面のやり取りが続いた「薬害訴訟」の口頭弁論では毎回、原告代理人の要請で原告女性の意見陳述が法廷で展開された。 「スポーツや勉学に打ち込み未来への希望に満ちていたがワクチン接種後の重篤な副反応で夢と希望が打ち砕かれた」 こんなナラティブベースの意見陳述が原告側の法廷戦略として採られ、法廷内には車椅子に座る体調の悪そうな原告女性たちが毎回並べられた。被告側の製薬会社代理人弁護士を睨みつける原告女性の姿を見て、憎悪の感情が体調に影響しないか、心配さえしていた。 昨年5月18日の東京地裁の口頭弁論期日から原告側専門家証人6人の証人尋問が行われ、12月18日の大阪地裁で6人全員の尋問が終了した。今年1月から原告の本人尋問が始まり、9月の大阪地裁で一旦終了となる。被告側専門家証人12人の尋問が10月の福岡地裁から始まる。 最新の口頭弁論は8月7日。東京地裁の大法廷で原告3人の本人尋問が行われた。特別傍聴券が多数用意されていたことで一般傍聴が60席に満たない。傍聴券の抽選に原告支援者を中心に120人以上が並んだ。私は運よく当選し傍聴することができた。 この日の本人尋問(主尋問・反対尋問)と原告代理人・製薬会社2社の会見内容をX(旧ツイッター)にポスト(ツイート)した。 「本日の東京地裁でのHPVワクチンを巡る集団訴訟で原告のうち3人の本人尋問が行われたのですが、反対尋問が衝撃の内容でした。このあと、順を追って報告します。#HPVワクチン」 このポストが1,000万インプレッションを超え、ツリーの総インプレッション数も1,800万回超となった。 何がこれほどの反響を呼んだのか。それは原告への製薬会社代理人による反対尋問の内容があまりに衝撃的だったからにほかならない。