「HPVワクチン」を接種する男性が増えているワケ。“子宮頸がん予防”だけではないメリットと副作用を医師が解説
既婚男性がなぜワクチンを打つのか
一方で、夜遊びやワンナイトを心置きなく楽しむために打つ人もいる。既婚者のYさん(39歳)は言う。 「同僚とたまにそういうお店に行ったり、パパ活のコと性行為することもあります。HPVっていわば性病の一種でしょ。もちろん自分も感染したくないですが、家庭内に持ち込まないためにも、妻に内緒でこっそり接種しました。既婚・独身に限らず、遊び好きの男は打つべきでしょう」 このように男性の間にも接種する人が増えているが、HPVワクチンは1回打てば終了ではない。 現在、3種類(2価、4価、9価)のワクチンがあるが4価の場合、初回から3回目まで、に半年~1年近くの期間を要する。 また、男性への助成は多くは4価のワクチンで、最も高い9価は自費で約10万円かかる。それでも接種には意義がある。産婦人科医のたぬきち氏は言う。 「HPVワクチンは’13年から海外で男性への接種が開始され、効果に関する論文が’10年代後半に相次いで公開されています。エビデンスが出るまで10年以上かかりましたが、ワクチン先進国からは予防効果が公表されています。近年、日本でも男性の罹患数が増えているHPV関連の中咽頭がんにも有効である可能性が高いことが判明しています」
重い副反応症状は「打っていない」グループでも同程度に出現
だが、ここで気になるのが副反応だ。世の中にはHPVワクチンをヒステリックに拒否する人も少なくない。重見氏は次のように話す。 「’18年に複数の論文をまとめた研究結果が出たのですが、重い副反応症状はHPVワクチンを打ったグループにも、打っていないグループにも、0.4~0.54%と一定数出ていることがわかりました。つまり、HPVワクチンによって副反応が出たのではないということです」 一方、ワクチンの安全性を「自らの体を使って証明するために打った」と話すのは参議院議員の音喜多駿氏だ。 「接種してSNSで発信したところ、『安心した』など大きな反響がありました。男性が積極的に打つことは社会にとって望ましいこと。今後、国全体として助成が行われるよう働きかけていきます。多くの方が接種することで社会全体が守られていきます。正しい知識を持って、選択をしていただきたい」 男性のHPVワクチン接種が、今後ますます進みそうだ。 【重見大介氏】 産婦人科専門医、医学博士。遠隔健康医療相談を行う「産婦人科オンライン」代表。「産婦人科×公衆衛生」をテーマに女性の健康を支援 【たぬきち氏】 産婦人科医、医学博士。10年間以上の勤務歴をもち、子宮頸がん治療にも専従。SNSで検診やワクチンの啓発・情報発信を行う 取材・文/週刊SPA!編集部 ―[[子宮頸がんワクチン]を打つ男が急増中!]―
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