内閣改造で支持率は上がる? 過去の事例は 坂東太郎のよく分かる時事用語
安倍晋三首相が8月3日に内閣改造を予定しています。内閣支持率低下が指摘される中、政権再浮揚のきっかけにしたい思惑のようですが、過去の改造が支持率にどう影響したかなどを振り返って改造の意義や今後を占ってみました。なお支持率は毎日新聞の調査で統一していますが、時代によって調査手法が異なるので単純な比較はできない点をご了承下さい。 【図】「危険水域」は何%? 内閣支持率が政権に与える影響は
「目玉人事」はあるのか?
内閣総理大臣(首相)の力の源は「解散権」と「人事権」とよくいわれます。前者は衆議院の解散で与党(首相の味方)が勝てば政権が安定します。憲法の決まりで勝敗にかかわらず内閣は選挙後に総辞職しなければなりません。与党が勝って首相が国会の指名選挙を経て続投すると「第2次」「第3次」と内閣の呼称が変わります。安倍首相は2度の総選挙に勝っているため2007年から約1年務めたのを「第1次」、2012年総選挙後の再就任が「第2次」、2014年総選挙後は「第3次」政権と呼ばれているのです。もちろんこの際にも人事は行われます。 選挙を経ないで内閣の顔ぶれを変えるのが「改造」です。憲法68条は首相に国務大臣(内閣の構成員)の任命および罷免(クビ)の権限を与えており、一度にまとめてこの権限を行使するのです。したがって改造前後の首相は同一人物となります。 具体的な手順としては、改造日当日に開く閣議で留任予定者を含む全員の国務大臣から辞表を受け取ります。その後、与党の幹部や内閣官房長官(予定者を含む)らが作る組閣本部で人選し官房長官(同)が組閣名簿を発表、該当する人物が官邸へ呼び込まれていきます。内閣の呼称は、第3次政権になってから3度目の改造なので「第3次安倍第3次改造内閣」です。 今回、安倍首相は「骨格は変えない」と明言しています。自民党が政権復帰した第2次安倍内閣以来、職に留まっているのは麻生太郎副総理兼財務大臣と菅義偉官房長官、岸田文雄外務大臣で「骨格」とは、この3人を指すと思われます。ただ岸田氏は同時に行なわれる自民党役員人事で政調会長に起用されると報じられています。 改造を行う大きな理由はイメージを一新させて内閣支持率を上げ、政権の求心力を増す狙いがあるのは明らか。一番アッと思わせるのは「骨格」の変更ですが「変えない」以上、次善の策は有力者や知名度の高い議員、女性や若手、民間人などを登用する「目玉人事」でサプライズを演出できるかどうかです。人気の高い小泉進次郎衆議院議員、元タレントの三原じゅん子参議院議員、民間人の橋下徹前大阪市長らが取りざたされました。