「恥ずかしい…」と放置するな『尿漏れ』に潜む病気の可能性、注意すべき症状とは
こんな症状に要注意
編集部: 尿漏れが見られるようになったら、どうしたら良いのでしょうか? 三山先生: 尿漏れを起こしている原因によっては、薬物療法や手術を行うことで症状を軽くすることができるかもしれません。もし日常生活に問題があるなど悩んでいる場合には、早めに泌尿器科へご相談ください。 編集部: 特にどんな症状が見られたら、受診したら良いのでしょうか? 三山先生: たとえば、尿漏れが気になるためにやりたいことができなくなったり、諦めざるを得なくなったりしたときには、受診することをお勧めします。 そのほか尿漏れだけでなく、排尿困難、残尿感、血尿・痛みなどがあるときには、もしかしたらほかの病気が原因となっているかもしれません。そういう場合も早めに受診するようにしましょう。 編集部: 尿漏れを放置するとどうなるのですか? 三山先生: 尿漏れを放置すると皮膚がかぶれたり、炎症を起こしたりして、皮膚トラブルの原因になることがあります。 また、場合によっては膀胱炎や前立腺肥大症、膀胱がんなどの尿路悪性腫瘍などの病気が隠れているかもしれません。放置せず、早めに診察を受けることをお勧めします。 編集部: 尿漏れが見られるときには泌尿器科を受診すべきですか? 三山先生: 尿漏れで困っているときには、泌尿器科を受診することをお勧めします。問診、尿検査、超音波検査などを必要に応じて行いますので、どういった尿失禁のタイプかを正しく判定ができます。 タイプを正しく判定することは、より効果的な治療につながるために何より大事です。
尿漏れの治療法
編集部: 尿漏れはどのようにして治療するのですか? 三山先生: 原因によって異なります。たとえば腹圧性尿失禁の場合、症状が軽度であれば尿道の周辺にある骨盤底筋群を鍛えることで改善が見込める場合もあります。また、肥満が原因となっていることもあるので、その場合には減量することで改善が期待できることもあります。 編集部: そのほかのタイプの尿漏れはどのように治療するのですか? 三山先生: 切迫性尿失禁の場合には、β3受容体作動薬や抗コリン薬などの薬剤を用いて治療を行うことがあります。そのほか飲水コントロール、骨盤底筋訓練、膀胱訓練などの行動療法も有効です。 編集部: 原因によって治療法が異なるのですね。 三山先生: はい。これらの保存療法によっても改善が期待できない場合には、手術を行うこともあります。そのほか当院では尿失禁に対する磁気治療医療機器を導入しています。 これは磁気の装置を使って骨盤底筋をトレーニングするもので、自費診療になりますが、大きな効果を期待することができます。 いずれにしてもまずは原因を確認し、それに適した治療を行うことが重要なので、尿漏れに悩んでいる方は一度、専門医に相談することをお勧めします。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 三山先生: 尿漏れは人に相談をしづらい疾患。そのため、本当は多くの人が悩みを抱えているのに、誰とも共有できず諦めているというパターンが多いのです。 しかし、尿漏れがあると生活の質が著しく低下し、外出ができなくなる、仕事が続けられなくなるなどといった問題が起きることも少なくありません。原因に応じてきちんとした治療をすれば治る可能性も高いので、諦める前にぜひ専門医に相談してみましょう。