なんと、「ダチョウの卵」より巨大化する…たった1つの細胞が20cmにもなる「驚きの植物名」
世界最大の細胞をもつ植物はなにか?
そして、二つめのご質問の「最大の植物細胞」についてです。 まず、身近なものから探してみましょう。開花して受粉した後、果実は大きくなります。ただし、大きくなる間に果実の細胞の数はほとんど増えません。細胞が大きくなることで果実が大きくなるのです。 例えば、スイカについても、雌花の付け根についていた小さな丸いものが、細胞の数は増えないまま、細胞の一つ一つが大きくなるだけであのような大きさになるのです。スイカを食べる前によく見てください。細胞の一つ一つが肉眼で見えるまでに大きくなっていることがわかるでしょう。 その他に身近なものでは、ミカンやグレープフルーツの果肉もわかりやすい例です。皮をむいて薄皮を開くと見える細長いものが一個の細胞ですが、グレープフルーツなら長さ約2cm、幅は太いところで3mmくらいはあるでしょう。ワタの毛の一本一本もそれぞれ一個の細胞ですが、長さは5cmくらいあります。 陸上の植物の場合、大きな細胞の集まりではからだを支えることができません。しかし、水中で生活している藻類の仲間では、陸上植物ほどからだを支える必要がないので、大きな細胞からなるものがあります。 さらに、核は分裂して増えますが、細胞間の仕切りができず、多くの核を持つ一個の細胞からできている藻類もあります。このような藻類の中で大きいものを、山形大学の原慶明先生に教えてもらったところ、藻類のオオバロニアは通常、長径2~3cmですが、原先生はパラオの海水湖で長径20cmもあるものを採ったことがあるとのことでした。 現生動物の細胞でいちばん大きいのはダチョウの卵で、平均長径が約15cmですが、原先生が採ったオオバロニアのほうが大きいことになります。 ただし、オオバロニアは核をたくさん持っている多核細胞で、核が一個の普通の細胞とは異なります。核が一個で大きい細胞では、長さ約10cmのカサノリ(海藻、緑藻類の一種)があります。 『植物の謎 60のQ&Aから見える、強くて緻密な生きざま』
日本植物生理学会