なんと、「ダチョウの卵」より巨大化する…たった1つの細胞が20cmにもなる「驚きの植物名」
私達の身の周りは道端の雑草からスーパーに並ぶ野菜まで様々な植物で溢れていますが、よく考えてみると答えがわからない様々な疑問が頭に浮かびます。 【写真】根っこが道路を割っている…樹木の根がアスファルトよりも「強い」ワケ そんな植物にまつわる「謎」に第一線で活躍する研究者たちが答えてくれるのが日本植物生理学会WEBサイトの人気コーナー「植物Q&A」です。このたび3000を超える質問の中から厳選された60のQ&Aが1冊の本にまとまり、ブルーバックス『植物の謎 60のQ&Aから見える、強くて緻密な生きざま』として刊行されました! 今回は収録されたQ&Aの中から植物細胞の大きさに関するものをご紹介。植物細胞は果たしてどこまで大きくなるのか…? 早速見てみましょう。 ※本記事は、『植物の謎 60のQ&Aから見える、強くて緻密な生きざま』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
Q.植物細胞で最大のものは、どれくらいの大きさか?
世界最大級の花がショクダイオオコンニャクだということを知り、大きさに関する疑問が湧きました。動物細胞の中でいちばん大きなものは卵細胞だと教わりました。植物では、セコイアスギなどで高さが100mを超えるものもあり、動物より非常に大きなものとなります。 そこで質問ですが、一つの植物細胞でもっとも大きくなるものは、どれくらいの大きさなのでしょうか。また、その植物は何でしょうか。 (一般の方からの質問)
細胞の大きさではなく、数を増やして大きくなる
ご質問は、内容から二つに分けられると思います。一つは、植物の「個体の大きさ」と「細胞の大きさ」との関係についてで、もう一つは、植物の細胞でいちばん大きいのは何かについてです。 まず一つめの質問についてです。例えば、ゾウとハツカネズミを比べると、体積でゾウはハツカネズミの12万5000倍もありますが、細胞(神経細胞)の大きさは8倍くらいの差です。こうしたことから、動物のからだの大きさは、細胞の大きさによるのではなく、細胞の数によるということがわかります。 では、植物はどうでしょうか。ご質問でショクダイオオコンニャクについて言及されているので、実際にこの花を咲かせた東京大学の植物園(通称:小石川植物園)で、植物分化の研究をしている先生に、ショクダイオオコンニャクとシロイヌナズナを比較してもらいました。 葉(葉身)の長さを比べると、シロイヌナズナの1~2cmに対して、ショクダイオオコンニャクはその100~200倍の約2mでした。ところが、葉の気孔の両側にある細長い細胞(孔辺細胞)の長さは、シロイヌナズナの15mに対して、ショクダイオオコンニャクは約3倍の40~50mです。孔辺細胞以外の細胞の面積でも、シロイヌナズナの500~1000平方mに対して、ショクダイオオコンニャクは2000平方mでした。 この結果から、ショクダイオオコンニャクが大きいのは、細胞が大きいからではなく、細胞の数が多いからだということがわかります。 動物と同じく植物の個体の大きさも、細胞の大きさによるのではなく細胞の数によることになります。