冬山のベースレイヤーを検証!パタゴニアのキャプリーンが選ばれる理由を考えてみた|PEAKSギアレビュー
冬山のベースレイヤー選びのコツ
ここまで読んでいただいても、どっちらのベースレイヤーが自分に向くかわからない人も多いと思う。それもそのはずで、活動する内容(運動量)、気温、標高、風、天候(日差しの有無)などを鑑みつつ、自身の発汗量を把握しておく必要がある。そのため、自身に最適なベースレイヤーを選ぶために、以下のポイントを押さえておこう。 1。運動量を把握:自身の発汗量に応じて、通気性の高いものか保温性を重視するか判断できるようにする。 2。環境条件を考慮:標高や気温、天候に応じて最適な厚さ・素材特性を選ぶ。 3。仕上げはレイヤリングで工夫:ベースレイヤーに合わせてミドルレイヤーもチョイスする。 未知の環境のフィールドに出る場合は挑戦的な行動はとらず、身近な場所で基準を定められるウエアを試してみてほしい。街中でのランニングでもいいし、行ったことのある近所の山でのデイハイクでもいい。 その際に重要なのは数値を記録しておくこと。気温と標高は必ずデータとして把握しておきたい。
【おまけ】パタゴニアのキャプリーン秋冬モデルおすすめ活用法
これを踏まえてより標高が高いエリア、たとえば八か岳の赤岳(2、899m)でこの1月に登山をする想定だと、おそらく気温は-10℃ほど。汗をかきやすい私なら今回のベースレイヤーよりもっと厚めにしたくなる。とはいえ、ハイクアップ中はかなりの運動量が見込まれるので、汗をかきすぎないよう適度な通気性もほしい。 そこで試してみたくなったのが、サーマル・フーディを着てみた際に感じたこのウエアの別の用途。それは、ミッドウェイト・クルーをベースレイヤーとして着用し、サーマル・フーディをその上に着るというもの。 もちろんこれだけでは寒い。が、薄手のものを重ねることで、より調整が細かくできる。この組み合わせで上に着るものは、森林限界未満で雪が降っていなければ、ハードシェルではなく少し防風性をもたせたアクティブインサレーションをチョイスすると思う。 そもそもサーマル・フーディに使用されているパワーグリッドは、これまで多くのブランドでも扱われている定番の薄手フリース。各社生地の厚みに若干の違いはあれど、適度な通気性と保温性を兼ね備えている。そう、中間着としても活用できるのだ。 薄手同士の重ね着であればまだレイヤリングにも余裕があるため、もっと寒いことが予想される場合はミドルレイヤーで調整がしやすい。薄曇りの残雪期であればウインドシェルを羽織ると調子がいいだろう。 5日目、奥只見丸山スキー場にも訪れた。山頂は1、242m。最高気温は0℃。この日はこれまでの感触を確かめるため、いつものメリノウールベースレイヤーに、ナノ・パフ・ジャケットを合わせた。 人もまばらで、非圧雪エリアの雪もサラサラとしていて心地がいい。気持ちよく何本もスノーボードで滑るうちにだんだんと奥まで入ってしまい、「このトレースまでは大丈夫だろう」とついて行ったら、なんとそれはスキーのトレース……。谷の深いところまで行く前に尾根を乗っこしているではないか。 かれこれ20分ほど、太ももくらいまでの深さのラッセルをし、なんとかスノーボードで滑られる場所まで復帰した。もちろん盛大に汗をかいている。このタイミングでミッドウェイト・クルーとサーマル・フーディの組み合わせを考えた。まさにこんなシーンでミドルレイヤーなしで着用したい。 冬山のベースレイヤー選びで“万人にコレがベスト! ”というものは存在しない。 迷ったら、定評のあるもののなかから3型(スタンダードな厚さの保温性を重視した化繊モデル、保温と通気性をバランスよく備えた化繊モデル、そして中番手くらいの厚さのメリノウールモデル)を用意し、状況に応じて選ぶのが現在の最適解だと考えている。 あとはミドルレイヤーとして夏の保温着から冬の行動着まで幅広く対応するものを持っておけば、どんどんその間を埋めるようにマッチするものが見つかるはずだ。そして状況に合わせて組み合わせをイメージできるようになる。 パタゴニアでは紹介したキャプリーンシリーズをはじめ、今回は試していないがテクニカルフリースのRシリーズや化繊綿のアクティブインサレーションも多数展開している。同社だけでも無数の組み合わせができるので、迷ったらぜひ店舗へ行って試着してみることをおすすめする。 以上、沼の淵よりお届けしました。 文・写真◉宮上晃一(PEAKS編集部)
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