「誰かの顔ではなく、最適化された自分がいい」 ”アプリの自分に近づきたい”若者たちの美容医療 現場の医師が語る、変わるニーズと抱える問題
韓国の美容医療は、技術レベル的には日本とほとんど変わらないのですが、競争が厳しいので、費用が比較的安い。一方で、劇的な結果を求められるあまり、日本ではやらないような大胆でハイリスクな施術をする施設も増えています。たとえば鼻の整形で、ビュンと鼻先を出す手術などですね。 海外ゆえに、仕上がりに不満足だったケースや合併症が起きた場合のアフターケアを受けにくいこともあって、トラブルも増えています。 ――日本では一般的に、どんな理由で美容外科に来院してくるのでしょうか。
大きく2つのタイプにわかれるかと思います。 1つは美容医療を経験している人の場合で、受診する前に施術の内容や医師の経歴、料金体系までネットで徹底的に調べ尽くしてから来院する傾向があります。 さらに、SNSや口コミサイトでの評判、症例写真やほかの患者さんの体験談、YouTubeで手術の流れや術後の経過まで確認したうえで、「このドクターにこの施術をお願いしたい」と明確に決めてくる人が多いですね。 もう1つは、初めて美容医療を受ける人の場合。こちらはテレビコマーシャルなどで、手軽で安価であることに引かれて、そのクリニックに来院するケースが多いようです。
――最近は、子どもが美容医療を受けるのを肯定的に理解する親も増えていると聞きます。 いますよ。朝、まぶたを二重にのりづけするアイプチ(二重のり)の接着に時間がかかったり、アイプチをやりすぎて、まぶたがかぶれたりしている中学生の娘を見かねて、母娘で一緒に二重の相談にくるケースもあります。 もともと未成年は親と同伴が原則なのですが、そういう意味では母親の理解は大きいですね。いまの子の母親の年代がすでにプチ整形をしていた世代で、美容外科に対するハードルが低いと感じます。
■業界の信頼を損ねるクリニック ――現在の美容医療界に思うことはありますか? 美容医療を受けたいと思っている人を安い価格の広告で引き寄せ、実際には高額なメニューを無理に勧めてくるクリニックも散見されることですかね。こうしたクリニックの存在は、業界全体の信頼を損ねる原因となっていて、いま問題視されています。 私が知る限り、テレビコマーシャルを頻繁に流しているからといって、そこがいいクリニックとは限りません。