センバツ高校野球 東邦、夏は優勝旗を 厳しい練習耐え、最後の試合は無失策 /愛知
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社・日本高校野球連盟主催)で東邦は3回戦まで勝ち進み、センバツでの勝利数を最多の中京大中京と並ぶ58まで伸ばした。ベンチ入りした全員が出場し、最後まで諦めずに戦った選手たちの奮闘を担当記者として振り返る。 新チームの課題は守備だった。新型コロナウイルスの影響で、全員そろっての練習ができず、守備の時間は極端に短かった。昨秋の公式戦では1試合平均2失策。センバツ出場が決まってからは徹底的に守備を鍛えた。主将の石川瑛貴(3年)は「守備から試合が崩れる。気合を入れて取り組まなければ」と引き締めていた。 だが、3月にあった練習試合でも失策をなくすことはできなかった。「特に内野の守備が弱かったから、不安があった」と振り返ったエース宮国凌空(3年)にチームで唯一、無失策の二塁手、中村騎士(3年)が「俺が守ってやるから安心して投げろ」と声をかけ続けた。 初戦の鳥取城北(鳥取)戦。山田祐輔監督は「エラーは三つまでならいい」と声をかけた。この試合の失策は3。石川は「緊張で硬くなったかもしれないが練習通りにやれた」と手応えを感じていた。 2回戦の高松商(香川)戦では失策1。さらに中堅手上田耕晟(3年)の好返球による捕殺や遊撃手大島善也(2年)の好捕も出た。8強をかけた報徳学園(兵庫)戦は延長で敗れたものの失策は0。再三のピンチには上田の好返球など3捕殺も決まり、最後の最後で成果が実った。 厳しい練習に耐え、春の舞台で全力を出し切った選手たち。大舞台を経験し、パワーアップしたナインが今度は夏の聖地で躍動し、深紅の優勝旗を手にすると信じている。【森田采花】