「移籍トラム」の素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
移籍トラムは「タイムカプセル」
2011(平成23)年に東日本大震災が発生した直後、長崎電気軌道は元仙台市電の車両を使用して「がんばれ!!東北号」を運行した。この取り組みに対して、多くの長崎市民が車内に設置された募金箱に義援金を投じた。また、2022年には京都市交通局が誕生110年を迎え、広島電鉄を走る元京都市電の車両にも記念ヘッドマークが掲出された。 移籍トラムは、その出身地の街の歴史を伝える一種の 「タイムカプセル」 であり、移籍元と移籍先の街をつなぐ「絆の架け橋」ともいえる。もし移籍トラムに出会ったら、車両に残された出身地の面影を探しながら、その電車がたどってきた長い旅路に思いをはせてほしい。 移籍トラムの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない。皆さんが感じる“やばさ”があったらぜひ聞かせてほしい。
若杉優貴(商業地理学者)