オランダのカタリナ=アマリア王女、マフィアに脅迫を受けている理由とは?
マドリードで過ごした1年
オランダのマスコミによると、王女は1年余りをマドリードで過ごし、スペインのフェリペ6世とレティシア王妃の宮殿で守られて過ごした。学業はオンライン授業で続け、日常生活をほぼ取り戻したように見えた。その頃の、マドリードのエル・レティーロ公園を散歩したり、買い物に出かける王女の写真が残っている。オランダ放送協会の報道によれば王女はその後アムステルダムに戻った。そして今、モロッコ系マフィアのリーダーで、カタリナ=アマリアに対する脅迫の実行犯とされるカリム・ブヤクリチャンが逃亡中であることが明らかになったのだ。
司法のミス
一体どうしてこんな事態となってしまったのだろう。カリムは今年の1月、600万ユーロのマネーロンダリングの容疑でスペインのマルベリャにて逮捕され、身柄を拘束された。ところが2月末、マラガ裁判所は彼を仮釈放してしまう。その際、判事は被告のパスポートを没収するだけにとどめた。カリムの保釈金は5万ユーロで、月に2日、警察署に出頭するように言い渡された。 しかもマラガの裁判所はスペインの最高裁に当たる「全国高等裁判所(Audiencia Nacional)」の逮捕状発行を突っぱね、まずマネーロンダリングの罪に対して地元で裁くと主張した。カリム・ブヤクリチャンを麻薬密売の罪で裁きたいオランダ当局による緊急の身柄引き渡し要請も無視された。もちろん、当の本人はこのいざこざに乗じてとっとと逃げ出した。おおよそ3週間前の4月初めから行方不明になっているそうだ。 スペインのある閣僚はメディアで、この麻薬王と目される人物ができるだけ早く「司直の手にゆだねられる」ことを約束しているが、この人物がアムステルダムに舞い戻る可能性にオランダ王室が怯えているであろうことは想像に難くない。いまのところ、王女に対する脅迫の理由は明らかになっていないが、犯人の動機は金銭的なものである可能性が高い。わかっているのは、カタリナ=アマリア王女が自分の人生を決然と歩み始めたことだ。4月17日にはアムステルダムで初めて国賓晩餐会に出席した。
text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr)