【宮田莉朋F2密着】追い上げをみせるも2件のペナルティで6ポジションダウン「避けようがない状況だった」
カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで開催されている2024年FIA F2第13戦。スプリントレースを15番手からスタートした宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は次々とポジションを上げる走りで7番手まで浮上しチェッカーを受けた。 【写真】FIA F2第13戦ルサイル 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ) しかし、1周目にはアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)と接触。そして18周目にディーノ・ベガノビッチ(ダムス・ルーカスオイル/フェラーリ育成)に追突して相手をスピンさせてしまう。この2件のアクシデントについて宮田にペナルティが科されることになり、正式結果では13位となった。 今回、初経験となるルサイルで課題も多いなかで金曜日のフリー走行、そして予選を終えた宮田。ピット義務のないスプリントレースではプライムタイヤ(ハードタイヤ)を装着して追い上げを目指した。 スタート直後の混戦でうまくスペースを見つけて4つポジションを上げると、ターン10でアントネッリのインを突いてオーバーテイクを仕掛けたが、ブレーキング時に2台が接触した。 この時の状況について「仕掛けにいったのですけど、彼がブレーキング中に動いたのです」と宮田。 「僕は彼の内側にいてブレーキングを始めていてタイヤもロックし始めていた状況だったので、ああやってブレーキング中に動かれてしまうと……こっちはどうしようもできないです」 ただ、レース後に行われたこの接触についての審議において、宮田に対しスプリントレースの順位で2ポジションダウン、ペナルティポイント1点加算という裁定が下った。 この接触により以降は右側の翼端板を失った宮田だが、「実は(翼端板が)取れていることに気づかなかった」という。「ハイスピードコーナーでずっとアンダーステアが出ていて乗りづらかったので、それが(翼端板が取れた)少なからず影響していたと思います」と振り返った。 実際に序盤はジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)の猛攻からポジションを守る状況が続いたが、レース中盤に入って、ビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)がタイヤのデグラデーション(性能劣化)からペースが上がらなくなり、宮田を含む約10台が数珠繋ぎの状態となった。 これで前との差が縮まった宮田はマルタンスを絡めてベガノビッチ攻略にかかろうとしたが、18周目のターン10立ち上がりで両者のラインが重なり、宮田がベガノビッチに追突するかたちとなった。 「マルタンスのペースがタイヤのデグラデーションの影響で遅くなっていました。向こう(ベガノビッチ)はクロスラインで立ち上がりの加速を良くしようとしていて、僕もそれに合わせてフォローしたのですけど、なぜか彼が加速しなかったので、同じラインのところで当たってしまいました」と宮田。 本人としては避けようのない接触だったというが、この件についてもレース後に審議され、4ポジションダウン(累計6ポジションダウン)と、ペナルティポイント2点加算(2024年累計5点)のペナルティが科されてることとなった。 「アントネッリのときもそうでしたけど、僕はどうしようもできない状況でした。2024年はこういうのが多いなという感じがします。避けようがないところで毎回ぶつかっているなと……」と納得がいっていない様子の宮田。「でも、しっかりとこれはこれで学びとして次に活かしたいです」と前を向いていた。 またレース後半は中団グループの中で安定したペースを刻んでいた印象だが「まだちょっと難しいというか、まだ完璧ではないと思っています」とのこと。 「ただ、金曜日と比べると進歩はしていると思いますし、順位を上げられたのは確かです。スタートもそうですが、今回はコース上でもオーバーテイクできました。そういう意味では良いレースができたと思います」 ペナルティもあり、スプリントレースでの入賞は叶わなかったが、追い上げるレースを披露していた宮田。「チームの雰囲気も良いですし、追い上げることができたのは事実です。今日の走りを基準にして明日はさらに良くしていきたいです」と、金曜日の走り出しから着実にステップを踏めている様子だった。 [オートスポーツweb 2024年12月01日]