巨大噴火でつくられる「カルデラ」って何?
火山噴火予知連絡会は先月、鹿児島県・桜島について、「姶良カルデラの長期的な膨張傾向が続き、引き続き活発な噴火活動が継続する」との見解を発表しました。桜島は、噴火警戒が全国で最も高いレベル3(入山規制)です。世界有数の火山国である日本には、数多くのカルデラがあります。そもそも、この「カルデラ」とは一体どのようなものでしょうか。
カルデラは巨大噴火の痕跡
カルデラとは、ポルトガル語で「大きな鍋」の意。火山が噴火すると、地表の一部が吹き飛ばされたり、広い範囲で地表が陥没したりするケースがあります。この火山の中心地域に位置するくぼ地がカルデラもしくは火口です。両者は便宜的に大きさで区分され、直径2km以上はカルデラ、それ以下は火口と呼ばれます。なお、カルデラに雨水がたまって湖となったものを「カルデラ湖」と呼びます。
カルデラの種類
カルデラはその発祥によって、大きく3つのタイプに分けられます。 1)爆発カルデラ 大噴火で山体が破壊されてできる。1888年の磐梯山(福島県)の噴火で飛ばされた小磐梯のくぼ地が好例。 2)陥没カルデラ 噴火で溶岩や地下にあったマグマが噴出したことで山体内部に空洞ができ、上部の岩盤が崩れ落ちて形成される。世界有数の巨大カルデラ、阿蘇カルデラ(熊本県)がこれに該当する。 3)浸食カルデラ もともとは普通の火山体だったが、侵食で火口が大きく広がったもの。代表的な侵食カルデラは、湯河原火山(神奈川県)。
日本の主要なカルデラ
カルデラは東北や関東地方にもありますが、北海道と九州に特に多く分布しています。そのほとんどは陥没カルデラです。 中でも注目なのが、直径東西約17km、南北約25kmの楕円形の形をした阿蘇カルデラです。阿蘇カルデラの周囲には、カルデラ形成時に噴出した火砕流が九州の北半分に分布。約8~9万年前の最大の噴火時に噴出した火砕流は、山口県の秋吉台にまで到達しています。 ほか、日本で有名なカルデラをいくつかご紹介しましょう。 ●桜島・姶良カルデラ(鹿児島県) 約2万5000年前に姶良山が噴火したことで山体が吹き飛び、姶良カルデラが形成。南北約23km、東西約24kmと、阿蘇カルデラに匹敵する大きさを誇ります。 ●鬼界カルデラ(鹿児島県) 約7300万年前に鹿児島市の南方およそ100kmの島で激しい噴火が発生し、島の大部分が失われて海底に巨大なカルデラができ上がりました。 ●立山カルデラ(富山県) 立山火山に食い込んだ谷が、激しい侵食によって拡大した侵食カルデラ。カルデラの内部には荒々しい風景が広がっています。 阿蘇カルデラを形成したような巨大噴火は、約1万年に1回の割合で発生しています。もし現代でこれほど大規模な噴火が起これば、その被害は図り知れないものとなりそうです。 (南澤悠佳/ノオト)