中国でユニクロ40周年感謝祭の真っ最中に「柳井発言」が大炎上
中国人を敵に回した柳井会長の「ひと言」
11月30日は本来、日中関係にとって「はなまる(花丸)の日」だった。ついに習近平政権が、日本人の「ノービザ渡航」を解禁したからだ。しかも、4年前までの15日以内の2倍、30日以内の中国滞在をノービザで許可するという寛大な措置だった。 【写真】「ユニクロそっくり…!」の中国企業がいま世界で「大人気」のワケ だが、そんな中、中国で最も有名な日本ブランドの一つで、中国人の生活に浸透しているユニクロが、ご難なのである。柳井正ファーストリテイリング会長(75歳)の「ひと言」が報じられたことで、14億中国人を敵に回してしまったのだ。 ユニクロは、11月22日から28日まで、「サンキューを超える感謝を!」というキャッチフレーズで、「40周年感謝祭」のビッグイベントを、全国で展開した。私も自宅付近の店で冬物の衣類を買い込んだが、レジにはものすごい行列ができて、大盛況だった。 日本を超える店舗数を誇る中国でも(今年8月現在で日本国内797店舗、中国大陸926店舗)、11月29日から12月5日まで、40周年感謝祭の真っ最中だ。キャッチフレーズは、「心懐感謝 不断向前」(心に感謝を込めて、不断に前進していく)。 実際、世界がコロナ禍から回復した現在、ユニクロの業績は絶好調である。10月10日に発表した2024年8月期決算によれば、売上収益が前期比12・2%増の3兆1038億円、営業利益が前期比31・4%増の5009億円。目標にしていた「売上3兆円、利益5000億円」という「ダブル突破」を実現したのだった。
「ユニクロは新疆ウイグルの綿を使わない」
こうした順風満帆の40周年の中で、柳井会長は、英BBCのインタビューを受けた。それは11月28日に記事になったが、「ユニクロは新疆ウイグルの綿を使わない、ボスが言う」というタイトルが付けられていた。「Mariko Oi」という日本人女性と思しき署名の入った記事は長文だが、その要旨を訳すと、以下の通りだ。 <ユニクロは中国で、1000店も展開している。グローバル・ファッション・チェーンのユニクロを展開する会社のボスはBBCに、日本の会社は中国の新疆ウイグル自治区で作られた綿は使わないと述べた。これはファーストリテイリングの柳井正CEOが、初めて直接、この問題に言及したものだ。 ユニクロにとって中国は、消費者市場だけでなく、工場としても大切な拠点だ。新疆ウイグルの綿は、かつて世界で最も良質の繊維として知られていた。だが少数民族のウイグル人のイスラム教徒を強制労働させることによって作られているという疑惑が起こってからは、遠ざけられるようになった。北京政府は、これらの疑惑を強く否定している。 2022年、新疆ウイグルからの商品の輸入に対するアメリカの厳しい規制が施行された。そのため、多くの世界的なブランドが、新疆ウイグル産の綿を使用した製品を、店頭から撤去。これは中国で、激しい反発を招いた。 H&M、ナイキ、バーバリー、エスプリ、アディダスなどのブランドが、中国でボイコットされた。スウェーデンのH&Mは、自社の衣料品が中国の大手電子商取引から撤去された。 そうした中、日本一の富豪である柳井氏は、新疆ウイグル製の綿がユニクロに使われているかについて、肯定も否定も避けてきた。「アメリカと中国の間でニュートラルでいたい」と言ってきた。 どちらかの側には立たないという柳井氏の決定は、ユニクロが中国の巨大な小売市場で人気を呼ぶのを助けてきた。しかし東京でBBCに対して、衣料品の素材がどこから来たのか、どのように作られたのかについてより透明性を高める同社の取り組みについて話す中で、「われわれは(新疆産の綿を)使っていない」と述べたのだ。 「私たちがどの綿を使用しているかについて言及することによって……」と柳井氏は続けた後、「実際のところ、これ以上言うとあまりにも政治的になるので、ここでやめましょう」と言って、答えるのを打ち切った。(以下略)> 以上である。この記事を読む限り、柳井会長は、「新疆ウイグル産の綿を使っていない」とは言明していない。だがタイトルに、「ユニクロは新疆ウイグルの綿を使わない、ボスが言う」と付けられてしまった。これは中国側にしてみれば、「ユニクロよ、お前もか!」ということになってしまう。