毎年、深く理解はせずに「年末調整」をしています。年末調整ではどのような控除が行われるのでしょうか?
個人事業主と違い、会社員は原則として確定申告の必要がありません。それは会社が個人に成り代わって、税金の申告と精算をやってくれるからです。これで手間が省けることを考えれば大きなメリットといえます。 ただ、給与所得以外の所得がある会社員や、年末調整ではできない所得控除を申請したい人は、あらためて確定申告をする必要があります。 本記事では、年末調整の方法とそのメリットについて説明していきます。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
年末調整とは?
年末調整は、会社員(給与所得者)にとって、1年間の所得税の精算を年末に行う手続きです。給与所得者は通常、毎月の給料から概算の所得税が源泉徴収されており、年末に実際の所得や控除を反映して正確な税額に調整されます。この手続きと次に述べる所得控除の適用により、多く支払った分が還付され、不足していた場合は追加で徴収されます。 1. 月々の源泉徴収税額の計算と引き去り 毎月の源泉徴収税額の計算と引き去りは、次のプロセスで行われます。 (1)課税対象額を算出する 課税対象額は、給与総額から給与所得控除や各種所得控除を差し引いた金額です。各種所得控除には、提出した社会保険料控除申告書(健康保険、厚生年金、雇用保険など)に基づいた社会保険料控除、扶養家族がいる場合は前年末の扶養控除申告書に基づいた一定の扶養控除などがあります。 この課税対象額が、源泉徴収税額の基準になります。 (2)源泉徴収税額表を用いて税額を確認し、給与から天引きする 国税庁が公表する「源泉徴収税額表」(月額表または日額表)を使って、課税対象額と扶養家族の人数に応じた税額を給与から天引きします。この税額表には、給与額と扶養家族の数に応じた税額が一覧で示されています。 2. 年末調整による精算 年末調整は12月に行われ、ここで最新の年間所得に基づく税額が確定します。年末調整時には従業員があらためて「扶養控除申告書」や「保険料控除申告書」を提出するため、最新の扶養状況や保険料控除、配偶者特別控除などが反映されて年末調整が終了します。 なお、生命保険料控除や地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などの控除は、月々の源泉徴収では考慮されません。これらの控除は、年末に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に基づき、年末調整によってまとめて精算されます。