ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんと考える「LGBTQ +と旅」の現在地
『Travel Proud』はLGBTQ +への配慮を考えるきっかけ
――『Travel Proud』は、旅館やホテルに向けLGBTQ +について一般的な知識だけでなく、宿泊時に起こりうるさまざまなケースなどを想定した具体的な学習を提供するプログラムだそうです。Booking.comという大手の予約サイトがこういった取り組みをすることについて、どう思われますか? ドリアンさん:本当に些細なことでも、スマートな配慮をそこかしこに感じられるだけで、LGBTQ +当事者にとっての旅が、素晴らしいものになるか悲しいものになるかが変わってきます。Booking.comのような規模が大きい企業がこういった取り組みをすることで、社会に大きなインパクトを与えることができるし、ポジティブな効果を期待しています。プログラムをきっかけに、ご自身のホテルや職場では何が可能かを考えるきっかけになったら素敵ですね。 ――『Travel Proud』のプログラムを修了した宿泊施設は認定バッジを付与されるそうですが、こういったバッジの表示は旅先を選ぶ際の安心材料になりますか? ドリアンさん:もちろんバッジの有無だけで行き先を決めるわけではないけれど、立地や値段で絞った後で迷ったときの最後の判断材料にはなりますね。やっぱり、LGBTQ +当事者にとっては宿選びってギャンブルな面もあるから。「外資だからたぶん大丈夫だろう」とか、ね。 日本は昔から海外の文化や異文化、“違うもの”を取り込み、自分たちのエッセンスを添えて新しい価値観を生み出すのが得意な国。今回の『Travel Proud』は、セクシュアリティやジェンダーの違いを乗り越えて新しい価値を生み出す取り組みですが、それに限らず、例えば障害やさまざまな特性の有無だったり、たくさんの違いを乗り越えてあらゆる人が居心地のいい文化を作るとことは、きっとできるはず。 誰かにとって居心地のいい空間が誰かにとって居心地の悪い空間になってはいけないし、そうならないためのプログラムがこの『Travel Proud』だと思います。日本のおもてなしの文化が、ますますより多くの人をウェルカムするのを、とても楽しみにしています。 ドラァグクイーン ドリアン・ロロブリジーダ ドラァグクイーン、歌手、俳優。数々のイベントやCM、モデル、MC、ライブ、舞台、映画、バラエティー番組などに出演。二人組歌謡ユニット「ふたりのビッグショー」や新宿2丁目発ユニット「八方不美人」のメンバーとして活動している。 撮影/三浦晴 取材・企画・構成・文/長田杏奈