ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさんと考える「LGBTQ +と旅」の現在地
日本がLGBTQ +当事者にとって魅力的な旅先になるには?
――「The Best and Worst Countries for LGBTQ + Travel 2023」(LGBTQ +の旅行先、ベスト&ワースト国ランキング 2023)では、日本は73位とあまり人気がないようでした。その背景には、いまだに同性婚が認められておらず差別禁止法もないことや、ジェンダーギャップランキングで146カ国のうち125位であることなどが影響しているようです。日本が世界のLGBTQ +当事者にとって魅力的な旅先になるためには、どんなふうに変わる必要があるのでしょうか? ドリアンさん:まず、英語を話せる人が少ないという言葉の壁は意外に大きいと思いますね。私はインバウンドが増える前から、街中で困っている海外の旅行者に声をかける方だったのですが、今は語学学習アプリの『Duolingo』で英語を学んでいます。 あとは、マルディグラ(オーストラリアのシドニーで開催される世界最大規模のプライドイベント)やソンクラーン(タイの正月に開催されるLGBTQ+向けの音楽ダンスフェス「GCIRCUIT SONG KRAN」)のように、世界中からLGBTQ+が参加するにぎやかなお祭りがあればいいかもしれませんね。日本でも東京レインボープライドというイベントで、パレードが開催されますが、車道の端っこを歩くでしょ。NYみたいに全線通行止めにできればいいのになぁって、いつも思っています。 ―― イベントでは、LGBTQ+トラベルに詳しい作家でインフルエンサーのカラム・マクスウィガンさんが、「日本では地域社会のLGBTQ +コミュニティと接点をもつのが難しい。新宿二丁目には200のゲイバーがあるが、訪れて接点を求めるのが難しい」と話されていて、意外でした。 ドリアンさん:ゲイが日陰者扱いをされ、顔や素性を隠して二丁目に通う文化の中で育った世代も多いので、一見さんお断りの店もあるし、英語を話せるスタッフがいない店も多いですからね。「イングリッシュノー!」で断られるところも少なくなくて、英語が通じる店に海外のお客さんが一極集中しがち。とはいえ、昔に比べればはるかにオープンになっているので、新宿二丁目という街も今は過渡期なんだと思います。